2024年 4月 30日 (火)

「ベンチャーにはこんな人が向く」 キャピタリスト・辻俊彦氏に聞く(上)

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   ホリエモン事件の影響で一時の「ベンチャーブーム」は鳴りを潜めた感があるが、いまも自分の夢を実現するために起業したり、ベンチャー企業に就職したりする人は多い。そんなベンチャー企業で働く人々に向けてエールを送る本が出版された。ベンチャーキャピタリストの辻俊彦氏が書いた『愚直に積め!』だ。どんなメッセージが込められているのか。著者の辻氏に聞いた。

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「失敗の積み重ねが成功につながる」

ベンチャーキャピタリストが書いた新しいビジネステキスト『愚直に積め!』。あとがきには、「ベンチャー企業家だけではもったいない。銀行員、経営者、そして多くのサラリーマンが読みべきだ」という作家・江上剛氏の言葉が記されている。
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――最近は『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』など長いタイトルの本が増えていますが、この本は『愚直に積め!』と非常にシンプルです。この短い言葉には、どんな意味が込められているのでしょうか?

 「ベンチャー企業が成長を遂げるには『愚直な挑戦の積み重ね』が必要である、という私の思いをそのままタイトルにしました。ベンチャーは大企業と違って、こうすればうまくいくという『成功法則』が確立していません。そういう環境のもとでは、失敗から学びながら果敢に実行を繰り返していくことが、なによりも重要です。失敗の積み重ねが成功につながる。それが『愚直に積め!』ということです」

――ベンチャー企業というと、Googleみたいに斬新なアイデアと卓越した技術力で勝負するというイメージがあるんですが、実際の現場はもっと泥臭いということでしょうか?

 「ベンチャーというのは、社会に新しい価値を創造するために戦っている企業ですが、新しい価値を生み出すのは『チャレンジの積み重ね』です。たとえば、エジソンがそうです。エジソンは電球を発明するために1万回以上失敗して、ようやく竹がフィラメントにちょうどいいことを見つけました。失敗がなければ成功はない。だから、あれこれ思い悩む前に、まず動くことが重要。ベンチャーの現場では、精緻な計画よりも速い行動が求められるのです」

――「ベンチャーの現場」という言葉が出ましたが、辻さんは現在所属しているベンチャーキャピタル会社の前に、大企業とべンチャー企業の両方で働いた経験があるんですよね。そのような経験からみて、ベンチャー企業に向くのはどんな人でしょうか?

 「ベンチャー企業に入って活躍している人に共通するのは、(1)フットワークが軽いこと(2)新しいことにワクワクする心をもっていること(3)学習する力があることの3点だと思います。なんといってもベンチャー企業は人手不足。言い出した人がそのまま実行者となる世界ですから、常に高い当事者意識をもっていて、自分の意見をすぐに行動に移せるフットワークの軽さが求められます。

   それから、先の見えない新しいことにチャレンジしていかなければいけないので、新しいだけでワクワクするような人がベンチャーには向いています。そして、ベンチャー企業では毎日のように想定外のことが起きます。それを成長の機会ととらえて学習していける人がベンチャーでは伸びていきます」

「ベンチャー企業を数ヶ月で渡り歩くことほど無益なものはない」

実際にベンチャー企業の現場で働いた経験もある辻俊彦氏。「ベンチャー企業はどこも理不尽ですよ」とあっさり言う。
実際にベンチャー企業の現場で働いた経験もある辻俊彦氏。「ベンチャー企業はどこも理不尽ですよ」とあっさり言う。

――いま大企業で働いている人の中にも「ベンチャー企業で働いてみたい」と思っている人は多いと思います。そんなベンチャーへの転職を考えている人が心得ておくべきことはありますか?

 「ベンチャー企業はどこも理不尽な世界です。大企業ならば、組織がしっかりしているから、自分の部署と関係のない雑務は別の部署がやってくれる。でもベンチャーは人手が少ないし組織も脆弱なので、やりたくないことを山のようにやらなければなりません。『なんでオレがやらなきゃいけないんだ?』という仕事がどんどん降ってくる。そいう理不尽さを楽しめるかどうかがポイントでしょうね。

大企業から転職した人は『ベンチャーにいけばやりたいことができる』と思って来るわけですが、実際はその前にやらなければいけないことがたくさんある。そこを耐えられるかどうかが、本当にやりたいことなのかどうかの試金石となります」

――そのあたりは、この会社(ジェイ・キャスト)もベンチャー企業なのでよく分かります(笑)。そんなベンチャー企業で働く人に、何かアドバイスはありますか?

 「ベンチャー企業は、今はまだ見えない『新しい価値』を社会に創造しようとしている存在なので、やりがいはあるはずです。理不尽と思える仕事やたくさんの失敗も、前向きに取り組めば必ず得られるものがあって、マニュアルでは学べないスキルが身につきます。

   ベンチャー企業に入っても『自分の理想と違う』とすぐに辞めてしまう人がいますが、ベンチャー企業を数ヶ月で渡り歩くことほど無益なものはありません。まずは最低2年、目の前の仕事と正面から向き合い、本当の意味でのキャリアアップを果たしてほしいと思います」

   辻氏は2008年2月15日19時から、東京・西新橋のマイクロメイツ・セミナールームで開かれるキャリアセミナーで講演する。テーマは「ベンチャーでキャリアアップが実現する5つの理由」だ。参加費は1000円。問い合わせは、コミットメンツ(TEL03-3511-8228)まで。

   ※「顧客に過度の期待を抱かせるな」 キャピタリスト・辻俊彦氏に聞く(下)


【辻俊彦氏プロフィール】
1960年福岡県生まれ。東京大学法学部卒。住友不動産にて新規事業の企画に従事し、複数の子会社設立を推進。その後、ベンチャー投資や事業会社での経営参画やIPO準備を経験し、2001年6月より住信インベストメントに参加。投資先企業に積極的な経営関与をするハンズオン投資を手がける。そのうちアイティメディアなど数社が株式公開を果たした。現在、同社投資第一部長として、ブルーオーシャンシステムズやチャイナ・コンシェルジュをはじめ、ベンチャー企業8社の社外取締役を務めており、ハンズオン投資を地道に実践中。ブログ「辻流」や「キャピタリストの視点」で日々の仕事で感じたことやさまざまな本の書評を記している。

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