「埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」が埼玉・川口市の西川口駅西口中央通りで行われたのが約1か月前の2008年11月24日のことだ。今回で3回目となるイベントで、埼玉県内20市町21品のご当地B級グルメが集結。3万5000人が試食し、来場者の投票によって順位がつけられるという大掛かりなものだったが、どんなグルメが上位に選ばれたか、いまひとつ印象が薄い。今回はあらためてベスト3の料理を写真とともに紹介、"B級グルメの香り"をお届けする。「いなり」と「すいとん」がペアにボリュームある「キューポラ定食」3万5000人が選んだ栄えある"グルメ王"は「キューポラ定食」だった。キューポラとは鉄の溶解炉のこと。吉永小百合主演の映画「キューポラのある街」でも知られる鋳物の街・川口のご当地メニューとして作られた「鉄骨いなり」と「雷すいとん」がセットになっている。「鉄骨いなり」は鉄にちなみ、鉄分の豊富なひじきを使ったいなり寿司。安全祈願のため、鋳物工場にまつられたという「お稲荷さま」が由来だそうで、味付けはやや甘めになっている。「すいとん」は9月の十五夜に食べる「だご汁」をアレンジしたもので、唐辛子の利いたピリ辛味になっている。甘めの「いなり」と辛い「すいとん」がマッチして高評価を獲得した。「上品」な蕨市の「和楽備茶漬け」「豆腐ラーメン」「和楽備茶漬け」2位は前回の"グルメ王"になった、さいたま市の「豆腐ラーメン」。醤油味のスープに、粘りある豆腐あんかけがのせられているラーメンで、昭和40年代に食堂のまかないとして発案された。豆腐がタップリ入っていることで「麻婆ラーメン」と間違われることもあるが、こちらは辛くないのだという。おなかも適度に膨れそうで、ランチにはちょうといいかもしれない。3位は蕨(わらび)市の「和楽備(わらび)茶漬け」。これは、じゃこや三つ葉などをのせた焼きおにぎりに、だし汁をかけて食べるもので、B級グルメにはふさわしくない(?)上品な味がするのだとか。すでに5~6店舗で出していて女性にも好評だという。開催地となった西川口は「風俗の街」としても有名だったが、近年は警察による摘発で違法風俗店が撤退、それにより飲食産業も衰退し、"空洞化"が叫ばれていた。この大会をきっかけにB級グルメの街として再生を目指す方針で、今回上位に選ばれた料理の普及を推進し、新たな街づくりを行っていくとのことだ。川口商工会議所「西川口街づくりステーション」ではこう話している。「『キューポラ定食』にしても、レシピ通りにつくるのは難しい。そのあたり、どこまで幅を持たせるか。それに、『鉄骨いなり』と『雷すいとん』のほうも、片方だけ取り入れたいといった要望にはどうするか、など、煮詰めなければいけないことが多いので、すぐに事は運びませんが、積極的に進めていきたいと思っています」
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