2020年 9月 25日 (金)

霞ヶ関官僚が読む本
問われる日本の危機管理 「最重要」は政治家の統治能力

毎日酷使する現代人の目にビルベリー由来アントシアニン!

   『日本最悪のシナリオ 9つの死角』(財団法人日本再建イニシアティブ 新潮社)。本書は、福島原発事故民間事故調報告書をまとめたシンクタンクが、日本の国家的危機のリスクシナリオを想定して、危機管理上の課題を分析したものである。

   第1部では、尖閣衝突、国債暴落、首都直下地震、サイバーテロ、パンデミック、エネルギー危機、北朝鮮崩壊、核テロ、人口衰弱の9つの分野について、各分野の専門家が現行法制度や現実の諸情勢に基づいて最悪パターンのシミュレーションを示し、分野ごとに具体的な課題を提起する(9分野の危機の中には、国債暴落及び人口衰弱という緊急・急迫性が比較的小さいものも含まれている。これについて本書は、日本全体を丸ごと蝕む致死的なリスクという意味ではこの2つが最も恐ろしいと指摘している)。

「尖閣衝突」めぐる「最悪のシナリオ」

『日本最悪のシナリオ 9つの死角』
『日本最悪のシナリオ 9つの死角』

   例えば、尖閣衝突の章では、中国の漁船が魚釣島に接岸して武装した漁民風の男たちが上陸し、機動隊と海上保安庁がこれを排除できない状況下で、政府が自衛隊の防衛出動を決断できないでいるうちに、台湾政府が中国寄りの立場に立つという想定である。自衛隊の石垣島への展開は、中国側に「日本軍による中国漁民に対する暴力」として世界中に流され、日本は外交戦に続き情報戦でも後れを取る。政府は国連に訴えようとするが、輪番で中国が議長を務める安保理では棚上げされ、緊急総会も中国の根回しで招集できないという最悪のシナリオが提示されている。そして課題として、中国側の上陸行動を防ぐ日本側の迅速な初期行動を可能にするシステムの検討などが提起されている。

   第2部では、シナリオで明らかになった問題点を法制度、官民協調、対外戦略、官邸、コミュニケーションという5つの角度から論じている。例えば、官邸に関しては、省庁横断型戦略機能と情報収集・分析機能強化のため、日本版NSC設置、保秘法制整備等が提言されている。

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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