2020年 10月 22日 (木)

もうひとつの民主主義

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合意形成の困難のなかで民主主義をどう再生するか

   前回(18年8月)の書評(「リベラリズム、崩れ去るのに任せるか、基礎からやりなおすか」)で取り上げたロールズでは、前期から後期への転回にあたり、リベラリズムの基礎付けが断念され、「重なり合うコンセンサス」によるリベラリズムの支持という図式が提示されていた。各人の信奉する原理が(リバタリアニズムであったり、社会民主主義であったり、宗教的原理主義であったり)多様で相いれないのはやむをえないとしても、最大公約数的に支持される共通領域があり、その領域にリベラリズムが含まれるという構想である。シャピロの提示する、共通善のための民主主義から「支配の極小化」のための民主主義という図式も、同じく民主主義国における合意形成の困難という共通の根に由来する。たとえ合意が難しくとも、せめて「支配」による悪をできる限り小さくすることができないものか。本書を貫くのはこのリアリズムである。

   本書が出たのが2003年。合意形成の困難は、当時よりも現在の方がより深刻さの度合いを増している。その意味で、本書での議論はアクチュアリティをいささかも失っていない。

経済官庁 Repugnant Conclusion

【霞ヶ関官僚が読む本】現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で「本や資料をどう読むか」「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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