2020年 10月 1日 (木)

渡辺美里、新作「ID」
「私の身分証明書は歌・声」

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外連味のない真っすぐな言葉

   新作アルバムは、30周年の区切りの年だった2015年の「Ordinary Life」以来4年4か月ぶりだ。プロデューサーの佐橋佳幸を中心に若い世代のシンガーソングライターや作家が参加したアルバムは、いくつもの時代を潜り抜けてきた彼女が「日常の愛おしさ」を再確認しているようなアルバムだった。

   「あの時は、佐橋君が『美里の30周年をお祝いしようよ』って集めてくれた人たちと一緒に作り上げたんですけど、まだ35周年、40周年のことは想像していなかった。そこから自分はこの先、どこに進むのか、と思ってそこに突き進んでいったのがこのアルバムです」

   彼女は、今回のアルバムの発端に、前作の後に行われた全都道府県ツアーをあげた。若い頃に東京などの都会で暮らして彼女のライブに足を運んでいた人たちが、地元に帰って日々の暮らしを営んでいる。そういう人たちが今の年齢でライブに参加してくれた。そのことへの感謝の気持ちを表したのが、2017年のシングル「ボクはここに」だった。「夏は あといくつある」「まだ 僕はここに そして今 君はどこに」と歌われるその曲のことは、当時、この欄に書いた記憶がある。

   新作アルバム「ID」の一曲目は、ギターとオルガンが60年代のロックンロールの快感そのものの「Ready Steady Go!」。エネルギーに満ちた演奏に乗って最初に歌われるのが「きっと人生はあっという間 うつむいている時間はないよ」だ。「変わることを恐れないで 何べんだってスタート出来る」「ありたっけの愛をこめて今日を叫ぼう」と何かが吹っ切れたような外連味のない真っすぐな言葉が繰り出される。

   「孤独と引き換えに 手に入れた自由に 涙が出るのは何故」「言葉よ 今 翼になれ」「心よ今 自由になれ」(「夢中で走れ!」)「どんなにどんなに望んでも 情熱は戻らない それでも夢見ずいられない」(「それでも夢見ずいられない」)

   もう若くない、夢見ることだけでは済まない、限りある日々の中で置き忘れてきた祈りや、消えることのない痛み。そのことを自覚しつつ、そこから新しい一歩を踏み出そうとする。どの曲にもそんな「今」が歌われている。

タケ×モリ プロフィール

タケは田家秀樹(たけ・ひでき)。音楽評論家、ノンフィクション作家。「ステージを観てないアーティストの評論はしない」を原則とし、40年以上、J-POPシーンを取材し続けている。69年、タウン誌のはしり「新宿プレイマップ」(新都心新宿PR委員会)創刊に参画。「セイ!ヤング」(文化放送)などの音楽番組、若者番組の放送作家、若者雑誌編集長を経て現職。著書に「読むJ-POP・1945~2004」(朝日文庫)などアーテイスト関連、音楽史など多数。「FM NACK5」「FM COCOLO」「TOKYO FM」などで音楽番組パーソナリテイ。放送作家としては「イムジン河2001」(NACK5)で民間放送連盟賞最優秀賞受賞、受賞作多数。ホームページは、http://takehideki.jimdo.com
モリは友人で同じくJ-POPに詳しい。

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