2024年 4月 20日 (土)

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ウイルスにかなり油断していた日本人

   また、コロナウイルスに関連しては、「人類が絶滅する6のシナリオ~もはや空想ではない終焉の科学」 (フレッド・グテル著 河出書房新社2013年9月、河出文庫2017年10月)も参考になる。邦訳の題は、本来の読者を引かせてしまうと思われるが、英語の原題は、「THE FATE OF THE SPECIES ~Why the Human Race May Cause Its Own Extinction and How We Can Stop it」(拙訳:種(しゅ)の運命~人類が自らの絶滅を引き起こしかねない理由と、その止め方)というものである。進化論で有名なダーウィンの古典「The Origin of Species」(種の起源)を連想させる題で、サイエンスライターのまっとうな著作だ。

   本書刊行当時、哲学者の萱野稔人氏は、朝日新聞の書評(2013年11月24日付)で、本書が描いているのは、「人類が自らの利益のためにしていることが、その意図に反して地球に災厄をもたらし、その結果として引き起こされる人類の絶滅である」とし、「とても読みやすい科学の本だが、投げかける問いはすぐれて哲学的だ」としていた。

   「第1章 世界を滅ぼすスーパーウイルス」は、現在、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーとして提言を行い、在籍する東京大学医科学研究所で新型コロナのワクチン開発にも取り組んでいる河岡義博教授の鳥インフルエンザの研究を導きとして叙述がなされる。「インフルエンザウイルスには現在、過去の時代とは大きく違った可能性が与えられている。以前ならありえなかったような大きな被害を人類にもたらす可能性を秘めているのだ。そういう時代になってからまだそう時間は経っていない。ウイルスの可能性は宿主となる生物の生き方に大きく影響される」との指摘にはハッとさせられる。

   「第5章 迫りくるバイオテロリズム」も、21世紀に入り、ますます進歩するバイオテクノロジーが、「悪」にも利用される可能性を赤裸々に描く。

   著者は、終章で、「私がこの本を書くにあたって話を聞いた科学者、あるいは科学の関係者のほとんどは、ウイルスこそが人類にとって最も切実な脅威だと信じていた」という。

   我々日本人は、ウイルスというものに対してかなり油断していたと思う。幸いにも、新型コロナウイルスは、それ自体で人類を滅亡に追いやることはなさそうだ。しかし、これを日本社会の記憶・教訓としていくことに今からこころする必要があると思う。

経済官庁 AK

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