2024年 4月 28日 (日)

テレワーク生活、あなたはぐっすり眠れている? 睡眠行動科学の専門家が警鐘

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   新型コロナ禍を機に在宅勤務になった人は夜、ぐっすり眠れているだろうか。つい自宅で夜遅くまでだらだらと仕事をしてしまう人や起床・就寝時刻が日によってバラバラになってしまった人、夕方のうたた寝で夜に眠れなくなってしまう人...。そんな睡眠のリズムと仕事との関係について、睡眠行動科学が専門の東京家政大学・岡島義准教授らによるオンラインセミナーが2020年10月28日に行われた。

   セミナーは、製薬大手の大塚製薬とシステム・ソフトウエア開発のネオジャパンが主催。「なぜ今『睡眠』が大切なのか? 睡眠リズムX社員パフォーマンスの最大化」と題され、在宅勤務に移行した従業員の健康管理や仕事のパフォーマンスの向上に課題を抱える企業経営者や人事総務部門の関係者らに向けた内容だ。

  • 週末の寝だめ、夕方のうたた寝は「逆効果」?(写真はイメージ)
    週末の寝だめ、夕方のうたた寝は「逆効果」?(写真はイメージ)
  • 4時間・6時間睡眠では、パフォーマンスが下がる(図左)一方で、眠気を感じにくいこと(図右)も実験で報告されている(岡島准教授提供)
    4時間・6時間睡眠では、パフォーマンスが下がる(図左)一方で、眠気を感じにくいこと(図右)も実験で報告されている(岡島准教授提供)
  • 睡眠の質と関係する生活習慣(岡島准教授提供)
    睡眠の質と関係する生活習慣(岡島准教授提供)
  • 「睡眠改善プログラム」のサポート内容の一例
    「睡眠改善プログラム」のサポート内容の一例
  • 週末の寝だめ、夕方のうたた寝は「逆効果」?(写真はイメージ)
  • 4時間・6時間睡眠では、パフォーマンスが下がる(図左)一方で、眠気を感じにくいこと(図右)も実験で報告されている(岡島准教授提供)
  • 睡眠の質と関係する生活習慣(岡島准教授提供)
  • 「睡眠改善プログラム」のサポート内容の一例

眠気を自覚しなくてもパフォーマンス落ちている?

   岡島准教授はまず睡眠の役割として、免疫機能の向上によって風邪をひきにくくなることや幸せな感情が高まることで不快な気分が減ることなど、心身面での好影響を挙げた。その上で、記憶の定着や向上、パフォーマンスの向上など仕事面での効果を指摘した。

   実際に、過去の睡眠医学の専門家による実験では、1日8時間睡眠を続けた人に比べて、4時間睡眠や6時間睡眠を続けた人は、単純作業におけるミスの回数が増えるという結果が報告されている。もちろん、徹夜を続けた人のミスは極端に多い。さらに4時間睡眠、6時間睡眠の人は、眠気をそこまで自覚しないものの、8時間睡眠の人に比べてやはりミスが多くなるという結果も出た。つまり慢性的に睡眠不足の人は、眠気を感じないにも関わらずパフォーマンスが落ちてしまうため、仕事の効率を上げるには十分な時間の睡眠習慣が必要だという。

   平日の睡眠不足を週末に「寝だめ」して取り戻そうとする人も多い。ところが、これはかえって体のリズムが崩れてしまうため、良くないという。岡島准教授は「いったん寝だめをすると、元のリズムに戻るまでに4日くらいかかる。木曜日には本調子に戻るものの、月曜日から水曜日のパフォーマンスは依然、悪いということになる。週末に、自分の幸福のための自由時間が寝だめによって削られてしまうデメリットもある」と話した。

   平日の午後に睡魔に襲われた際も、15時までに20分程度のうたた寝なら仕事の効率を高めるという。逆に15時以降や長時間のうたた寝は夜の睡眠の質を落としてしまう。

   岡島准教授はパフォーマンスを上げるための方策として、睡眠時間の確保や睡眠リズムを保つことに加え、

1. 朝日をしっかり浴びるとともに、朝食をしっかり食べて体内時計を整える
2. 息が上がるくらい、少し汗ばむくらいの「中強度」の運動をする
3. 酒、たばこ、カフェインを多く摂らない

   ことなどを挙げる。

   その上でこう結論づけた。

「かつてはたくさん活動するから寝られる、だから睡眠を削ってたくさん働こうという考え方だった。でも今はちゃんと眠ったから日中のパフォーマンスが上がる、能動的に睡眠を生活の中心に置くという考え方が主流。そうやって考え方を変えていくことがポイントだ」
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