2021年 5月 13日 (木)

厚労省官僚の「疲弊」が限界に達している

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■『ブラック霞が関』(著・千正康裕、新潮社)
■『日本国憲法論 第2版』(著・佐藤幸治、成文堂)

   2013年4月掲載の当コラムは、「『日程国会』でブラック企業並み? 疲弊し辞めていく若手・中堅の苦悩」と題して、過酷なその実態について、『日本の国会』(大山礼子著 岩波書店)などを引きながら論じた。遺憾ながら、状況はますます悪化の一途をたどっている。特に、評者が霞ヶ関の中で、たいへんな状況にあると推察するのが、厚生労働省である。格差社会が問題になる中、厚労省の仕事はますます増大しているし、厚生行政は、地方自治体に仕事を委任しているものも多く、独自性を強める地方自治体との調整も複雑化していると考えられる。厚生労働省で働く方々には、まさにその重要な仕事を担うという強い使命感を感じることが多いが、それも限界に達しているのではないか。

一部の「超人」が組織を引っ張る

   2019年9月30日に18年半勤めた厚生労働省を退官した千正康裕氏が世に問うたのが、『ブラック霞が関』(新潮社 2020年11月)である。「第1章 ブラック企業も真っ青な霞が関の実態~政策の現場で何が起こっているのか~」や「第2章 石を投げれば長期休職者に当たる~壊れていく官僚たちと離職の背景」は衝撃的ではあるが、厚生労働省での労働の過酷な実態をまざまざとあらわしている。また、「第5章『できる上司』と『偉い人』が悩みの種~霞が関の働き方改革の壁~」で、「スーパーサイヤ人ばかりが引っ張る組織」との表現がポイントをついている。「サイヤ人」とは、マンガ『ドラゴンボール』に出てくる、とにかく戦闘能力の高い超人のことだ。24時間365日対応ができる職員が本省の組織を引っぱるため、多様な人材が活躍できないでいる現実を率直に指摘する。しかし、昭和の時代はともかく、平成を経て、令和の時代はダイバーシティ(多様性)が優れた組織のキーワードだ。霞が関のパフォーマンスが下がれば、国民生活にも悪影響を及ぼすのは、コロナ禍の現状をみても明らかだ。第6章は霞が関(行政)への業務改革の提言、第7章は永田町(国会)への改革提言となっている。「神は細部に宿る」とはよく言われるが、現場の実態を踏まえたこまやかな改革が求められている。

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