独が武器供与を渋る理由
ロシアのプーチン大統領は核戦争になれば「勝者はいない」と語っている。ウクライナに軍事支援する西側諸国が少なくない中で、独はどちらかと言えば仲裁に奔走している。
その理由を日経ビジネス(2月8日)で、在独ジャーナリストの熊谷徹氏が「欧州の盟主ドイツがウクライナ軍事支援に二の足を踏むわけ」という記事で解説している。
「欧米諸国がウクライナにミサイルやロケットなど武器の供与を進める中、ドイツの支援はヘルメット5000個にとどまる。その背景にあるのは、ロシア産の天然ガスと石油への依存だけではない」
独が武器供与を渋っているのは、一つには独の「戦争兵器管理法」などで、「紛争に巻き込まれている国、もしくは紛争が勃発する危険にさらされている国に対する戦争兵器の輸出や移転」を原則的に禁止しているからだという。ウクライナでは、2014年から東部で親ロシア武装勢力と政府軍の間で戦闘が展開されているため、紛争地域とみなされ、独は武器の輸出や移転ができない。
加えて熊谷氏は、「ドイツ人にとって、第2次世界大戦中にナチス・ドイツ軍がウクライナを含むソ連領土に侵攻し深刻な被害を与えた記憶が、この地域への武器供与をためらわせる理由となっている」と解説している。
ナチス・ドイツのウクライナに侵攻した過去が、約80年後の現在も、独を金縛りにしているようだ。