2024年 4月 26日 (金)

寒いお仕事 壇蜜さんはグラビア撮影から飛んで懐中汁粉にドボン

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三段跳びの構成

   こうしたコラムの魅力のひとつは、テーマの飛躍だろう。ただ、ひとつ間違うと散漫になり「こじつけ感」が残るため、それなりの筆力は要る。冬場のグラビア撮影から懐中汁粉へと、壇蜜さんもなかなか大胆な展開を試みた。

   遠く離れたスタートとゴールをつなぐキーワードは「防寒」そして「懐」だ。この二つを足場にして、全体が三段跳びのような構成になっている。跳んだり跳ねたりのバタバタした感じはそれほどなく、着地も砂場の中にちゃんと納まったと思う。

   いちばん面白かったのは、汁粉のくだりではなく、三段とびのホップにあたる寒中撮影の苦労話である。当人にしか語れないことだから、現場感、真実性が行間からにじむ。

   中には「男目線」のグラビア商売、撮影現場に漂う体育会系のノリを嫌悪する人もいよう。「露出がなくては成り立たない」と書いた壇蜜さんの真意は不明だが、モデルには当然ギャラが発生しており、スタッフ共々、納得しての「肉体労働」である。私はただただ「...寒そう」とつぶやきながら読んだ。

   しかし温石に懐中汁粉とは、地味というか渋いというか、どこか古風な彼女らしい。和のテイストと半裸でのお仕事のギャップこそが、新潮読者の真ん中にいるおじさんたち、多くは「襦袢ファン」であろう彼らを魅了するのである。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。
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