大虐殺「証明」の障害とは 今も支配する「恐怖」
2008.06.27 15:44
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日本の元検事も判事に
日本からこの法廷の判事として参加する野口元郎・元東京地検検事は、「これだけ大きな犯罪が行われた中で法における裁きがないままなのは異常なこと。正義の実現、法の支配の強化という観点から、裁判はどうしても必要な手続きだ」と述べるが、表情と語り口は暗い。
最後に樺沢記者が、「カンボジアでは、ポル・ポト時代のことを知らない若者が急速に増えている。政治的安定を最優先して学校で教えてこなかったからだ。が、裁判を機にくわしく教え始めている」と、先行きの明るさについても触れるが、裁判の前途は遼遠のような気がした。
樺沢記者の熱意が成立させた企画だろうが、裁判の行方を左右すると思われるカンボジア政府担当者へのインタビューがほしかった。
アレマ
<メモ:ポル・ポト派>
1970年代、カンボジアで吹き荒れた共産主義政権による虐殺では、国民の5人に1人、150万人以上が犠牲になったという。当時の政権を率いたのがポル・ポト元首相であり、その一派はポル・ポト派と呼ばれた。元首相の死後、大虐殺を裁く「ポル・ポト特別法廷」が設置されたのは2年前2006年のことである
*NHKクローズアップ現代(2008年6月26日放送)
文
ヤンヤン