2024年 5月 5日 (日)

どうしてここから硫化水素が? 「知られざる危険」と対応策

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

「空気穴」で防止可能

   廃棄が義務付けられた管理型処分場は現在、全国に90か所設けられているが、石こうボードの廃棄が多い東京や大阪、埼玉など大都市には全くない。

   このため処理コストや輸送コストが跳ね上がり、解体業者が値上がり分を負担しているのが現状という。

   不法投棄が後を絶たないのはそのためだ。この不法投棄によって、これまで埼玉、静岡など10県で、硫化水素の発生が確認されている。

   こうした不法投棄場所で「(硫化水素が)発生しないような対策を取るのは可能なのでしょうか?」と国谷キャスター。

   これに対し国立環境研究所の井上雄三が「まず、モニタリングし監視しながら、5つの発生条件のうち、どれかを取り除けば発生は防げる。排水溝や空気穴を設けた施設をつくれば防止は可能だ」という。

   一方、今後期待されるのは、硫化水素を発生させない石こうボードの開発。すでに石こうボードメーカーには、硫化水素の発生を抑える酸化鉄を原料に加えた石こうボードの新製品を開発したところもある。

   ただし、酸化鉄の費用などコストアップから販売価格が1割ほど高くなるのは避けられない。現在の建築不況の中では、安い韓国製品が流入し価格競争に勝てなくなる恐れがあり、積極的な売り込みを躊躇しているという。

   規制強化すれば不法投棄が増える。ひとたび不法投棄から硫化水素が発生すれば、その対策の費用と手間は膨大なものになるという。といって新製品を開発すれば外国品との価格競争に負けてしまう。

   まるで出口が見えない迷路に入ったよう。市場原理に任せているだけで安全、安心を確保するのは、もはや限界にきつつあるということか……。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2008年12月10日放送)

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中