改革とはこうするのさ ニューヨーク発オペラ新事情
2009.01.27 15:46
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金融危機をどう乗り切るか
「オペラを本来の姿に戻したかった。プッチーニ、ヴェルディ、ワグナーたちは、現在のブロードウェー・ミュージカルの作曲家たちと同じことを目指していた。自分のオペラを大衆に受けるヒット作にしたかったのだ」とゲルブは述べる。長身で落ち着いた物腰、語り口はソフトだ。
こうして『魅せる』オペラをリードし、「世界で最も影響のある100人」として雑誌に紹介された総裁の前に大きなカベが立ちふさがる。100年に1度の金融危機である。
運営費の半分を寄付金に頼る劇場にとっては、チケットの売り上げ減も予想され、この試練は厳しい。手始めに自らの賃金カットを決めたゲルブは、劇場のスタッフ全員に給与削減を求め、コストがかかる演目の再演も取りやめる。
「状況が悪いときの方が改革を実行しやすい」と彼は言うが、ピンチを乗り越える手立ては見つかっていないらしい。「クラシック界の変革者」が、ビジネス面でも手腕を発揮できるかどうか。
オバマ大統領就任式の取材に赴いた国谷のおみやげ企画と思われるが、かの地の劇場総裁を務める人の意欲的な仕事ぶりは伝わってきた。翻って日本の同じ職掌の方は活躍されているのだろうか?
アレマ
* NHKクローズアップ現代(2009年1月26日放送)