世界経済危機は救えるか 国谷キャスター「ダボス会議」に迫る
2009.01.30 14:19
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新理念「危機の中、実現可能か」
--政治色を除くようにしているのか?
「危機になるとどの国も自己中心になる。国益を守るために、グローバルな利益に反することもやる。国の代表は選挙で選ばれているから、世論のプレッシャーに左右される。私たちはこれを防ぐために、長期的な議論をうながす触媒の役割を果たす」
シュワブ会長は先に、危機後の必要な新しい理念として「グローバル・コーポレート・シチズンシップ」を提言している。企業が、利益追求・株主重視から脱皮するよう求めたものだ。
--新しいことばだが、企業責任とは違うのか?
「企業責任の先をいく言葉だ。従業員や周辺の人たちだけでなく、より多くの人たちに配慮すること。例えば遠いアフリカの国のことでも、長い目で見れば利害関係者になりうる。過去50年の経済成長を牽引したのは、新興国の消費者だった」
--深刻な経済危機の中でそれが可能だろうか?
「現実を見てください。残された時間は少ない。気候変動の危機など、経済の危機よりはるかに大きい。グローバリゼーションはイデオロギーではなくて、事実なのです。環境汚染は国境では止まらない」
理念はわかる。だが、集まるのは世界のトップ、筋金入りの現実主義者ばかりだ。この取り合わせは、やっぱり奇妙である。
<メモ:クラウス・シュワブ会長> ドイツ生まれ、スイスで経済学の学位をとり教鞭もとった経済学者。1971年、33歳の時ダボス会議を組織。その時々のテーマで世界の指導者と理念を発信してきた。90年代からは、人種差別、パレスチナなどの政治問題もテーマに取り上げ、政府、産業界、市民団体、有識者を糾合したユニークなフォーラムに仕立てあげた。総会以外にもネットワークを拡げ、2007年の大連(中国)会議、08年のニューデリー経済サミットなどを開いている。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2009年1月29日放送)