弱小通貨とユーロ 通貨「勝ち組」の苦悩
2009.02.10 15:45
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長期的には拡大の流れ
ポーランド、ハンガリー、チェコなど旧東欧諸国の事情もあまり変わらないようだ。EUとしては、これらの国を取り込んで為替リスク、両替のコストをなくし、より強力な経済圏を目指したいところ。だが、導入基準を緩めるとユーロの信頼を失いかねない。ジレンマなのである。
ユーロの今後について、長崎泰裕・NHKヨーロッパ総局長は「短期的に拡大は難しい。参加基準を満たすために各国政府が進める改革に国民が耐えきれるかどうか。当面は足踏み状態にならざるを得ない。ただ、長期的には拡大の流れが続く」とした。そして「長い間、戦乱に見舞われたヨーロッパは、その反省に立って第2次大戦後、統合を進めてきた。ユーロには、より恒久的な平和を維持して行こうという思いがこめられている。歴史に根差した政治的意思に基づいているかぎり、ユーロは、統合を進める上で大きな推進力になりうる」と説く。
スタジオに戻って、国谷裕子キャスターが「同じ価値観で共通の道を歩めるかどうか、壮大な実験ですね」と言うと、田中教授は「ヨーロッパにはオバマ大統領のようなリーダーシップを発揮できる政治家がいない。それをEUの総合力で補って行けるかどうか、問われる局面がくると思う」と語った。
視聴率を気にしないで放映できるNHKならではのテーマで、アジアでは『壮大な実験』は絶対ムリだろうなと思いつつ見るしか術はなかった。
アレマ
* NHKクローズアップ現代(2009年2月9日放送)