2024年 4月 28日 (日)

新高齢者医療制度が呼び起こす 健康保険「負のスパイラル」

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見えない「いくら払えば何を保障」

   「健保」が崩れれば、影響は当然「協会けんぽ」に及ぶ。国庫負担の増だ。また中小企業にとっては、保険料の半額負担が重荷だ。この不況でさらに深刻になり、負担軽減を指導するセミナーが盛況という変な現象も起きている。

   ある人材コンサルティング会社は、正社員を業務委託契約(請負)にして、この保険料負担を削ろうとしていた。社員はこんどは国保に切り替えることになり、自己負担が増える。社長は「人としてどうなんだ、といわれるだろうが、やむをえない」という。

   より古典的な手口で、会社が負担額を減らすために、社員の給与を低く申告するというのがある。例の年金の確認騒ぎで明らかになったものだが、低額申告で指導を受けた事業所は、昨年度3万4000以上もあった。決して過去のことではないのだ。

   川渕孝一・東京医科歯科大学教授は、「負のスパイラルに陥っている」という。健保→協会→国保へと流れが進むと、結局は国庫負担が増えて、税金にはねかえってくると。確かに深刻だ。

   森本健成キャスターが「対策は」と問うた。川渕教授は「短期的には、健保組合への税金投入。だが中長期的なデザインが必要。皆保険は強制なのに、いくら払えば何を保障してくれるかが見えない」という。

   これで現状はわかった。が、新高齢者医療制度自体が妥当なのかどうか、結果として、制度が制度を潰している? そこまで踏み込まないと全体像は見えてこない。危機感と怒りがいまひとつ伝わらず。

ヤンヤン

* NHKクローズアップ現代(2009年3月5日放送)

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