2024年 5月 1日 (水)

高校中退に見る貧困化 その不気味な広がりと絶望

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仕事に追われ学ぶ意欲失う

   埼玉県立高校を中退していった教え子たちのその後を見守り続けている教師がいる。

   教師によると、入学したとき201人だった生徒が、2年前に迎えた卒業式では120人に激減していた。なかには半数以上が中退したクラスもあったとか。

   教師がそうした教え子に電話すると、中退すればさらに厳しい現実が待っていて、貧しさからくる無気力、孤立感、将来に希望が持てない刹那的な思いが返ってくるという。

   例えば2年進級を前に中退を余儀なくされた女生徒。母親が2つのパートを掛け持ちし月収14万円でやりくりしていた。その母親が過労で倒れ、やむなく中退。

   教師が、アルバイトをして生活しているというその教え子に電話した。返ってきた言葉は「アルバイトに追われているうちに学ぶ意欲を失った」だった。

   教師は「昔も中退する生徒はあったが、今は、昔と全然違う。貧困の程度が非常に強くなっている」という。

   こうして中退した生徒のほとんどが正規の職に就けず、不安定なアルバイト。しかも、これまで学歴が問われることはなかったアルバイトが、最近は高校中退を言うと面接をしてもらえないという。

   どこからも救済されずに満足に教育を受けられない子供たちが増えていく社会。貧困が教育の機会均等を奪い格差を増長させる社会。首相が「NO2の経済大国」と意気がっているが、現実はそんな構図になっている。

   畠山智之キャスターの「一時金的に救済しても問題は解決しないということですか?」という問いに、小宮教授は次のように答えた。

「この経済危機が問うているのは、戦後の教育の在り方、親の負担によって教育が行われてきた制度を変えねばならないということだと思う」
「少子高齢化の中で貴重な人材である若い世代を大切に育て、彼らの人生を保証する。そのためには、社会が十分な教育投資を行う方向に変えていく。それをしないと将来に負の遺産を残すことになる」

モンブラン

   * NHKクローズアップ現代(2009年3月11日放送)

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