企業の足引っ張る「日本の官」 再生医療「敗戦」の戦犯

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   <テレビウォッチ>今回のクローズアップ現代は、「夢の医療」と言われ期待されながら、患者から遠ざかる一方の「再生医療」に一体何が起きているのかスポットを当てた力作。

   「再生医療」は、すでに製品化されている皮膚の再生のほか、製品化一歩手前の角膜の再生、脳梗塞で傷ついた脳神経の再生、すり減った軟骨の再生など研究が進められている。

「審査に時間かかり過ぎる」

   バイオテクノロジーを活用したこの「再生医療」は、製品化が軌道に乗れば48兆円の市場規模が見込まれ、世界で競争力ある新たな産業になると有望視されていた。

   ところが、せっかく開発された夢の新技術の恩恵も、肝心の患者の元に届かず、製品化に取り組んだ企業が倒産したり撤退したりし、宝の持ち腐れになっているケースが出ている。

   番組は、そんな再生医療の製品化を巡って最近起きた3つのケースを取り上げた。

   そのうちの1つ。昨2008年11月に5億円の負債を抱えて倒産したベンチャー企業の例。

   この会社は、東海大学の猪口貞樹教授が独自に開発した「複合型培養皮膚」の技術をもとに製品化を目指した。

   この技術は皮膚の表皮だけでなく、その下の真皮層を併せて再生する技術で、定着しやすいことから重いヤケドの治療に効果を発揮する。

   現在大学病院で試験的な治療が行われているが、倒産によって製品化の道が閉ざされ、より多くの患者が恩恵を受ける機会が失われてしまった。

   ほかの2つを含め共通しているのは、タイム・イズ・マネー。スピードが命のベンチャー企業だが、そんなことは行政はお構いなし。「国の審査にあまりにも時間がかかり過ぎることだ」(小澤社長)と問題点を指摘する。

   製品化のための審査は、厚労省が所管する独立行政法人『医薬品医療機器総合機構』が同省の委託を受け実施している。

   しかし、開発者が既に安全性などの臨床研究をやっているのにこの臨床研究を無視し、国の定めた統一基準に沿って改めて臨床試験を行っている。

欧米では臨床試験一本化

   欧米ではすでに一本化されているのに、企業側からすれば2度手間になっているのだ。しかも、専門家が不足し、医薬品などの審査担当者が掛け持ちでやっているという。

   国谷キャスターが「国が企業の足を引っ張っているということですね」に番組にゲスト出演した京都大大学院の川上浩司教授は次のように語った。

   「基礎研究を助成しようと2000年から政府は研究費を手厚くした。その結果、再生医療の特許の出願数は米国に次いで2位。

   しかし、残念なことに出口の製品化は日本はうまくいかない。なぜなら、ベンチャー企業のような新しい産業を起こす文化が少なく、応援する体制も整っていない」

   政府は、やっと先月になって審査体制の拡充について検討会を開いたが、これでは国際競争に勝てるわけはない。

モンブラン

   * NHKクローズアップ現代(2009年7月15日放送)

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