「農業は知恵比べのビジネスに」 直売所で起きているコト

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<テレビウォッチ> たとえば、JAあぐりタウン げんきの郷(愛知県)の「サラダ白菜」、JAおちいまばりさいさいきて屋(愛媛県)の「いちじくタルト」。2つとも、それぞれのJA農産物直売所が誇るヒット商品だ。そのほか、産地直近、採れたてのキュウリ、イチゴ、トマトなどが売れ筋らしい。いずれも普通の商品より価格は少し高めだが、よく売れているそうだ。今、こうした野菜、果物を販売する全国各地の農産物直売所がブームになっているという。

   番組が映す直売所は活況を見せ、お客からは「甘いね」「おいしい」の声が飛ぶ。レジの売り上げ情報を携帯電話に知らせるポスシステムが導入され、直売所には常に新鮮な製品が並ぶ。値段は農家自身が決め、売り上げの15%を手数料として直売所に払い、残りは農家の収入になる。が、売れ残ると、自己責任で引き取らねばならない。

「無農薬」偽装も

   「サラダ白菜」を生産する農家は、製品を市場には一切、出荷せず、直売所だけで販売する。この農家の妻は、流行りのレストランに足を運び、人気の出そうな野菜を探す。夫は「180度、意識が変わった。直売で行こうと思ったら、絶えず探さないと。同じ物では価格面でも年収が取れない」と話す。「農家にビジネス感覚が浸透」(ナレーション)したのだ。

   「いちじくタルト」用のいちじくを作る農家の夫は、農地が狭いため、勤めに出ざるを得なかった。父親から受け継いだ土地は荒れた状態がつづいていた。が、直売所が近くにできてからは、再び畑に手を入れるようになる。いちじく作りに励む毎日だ。「こうなると、土地を大事に守って次の世代に引き継いでいかないといかん」と顔をほころばせる。この直売所ができた当初は90人しかいなかった出荷者が今では1300人に上るという。

   スタジオゲストの大澤信一(日本総研主任研究員)は、直売所ブームをこう分析する――われわれがふだん利用するスーパーなどの、成熟した食のマーケットでは売られていない、その先にあるものが売られている。農家がみんな勝手にいろいろ工夫して作って、それを消費者が面白がって買うという、これまでなかったマーケットが生まれ、新しいビジネスモデルが育っている。そのことが、偶然、直売所によってわかった。農業は知恵比べのビジネスになってきた。そのとっかかりが直売所といえる――

   もちろん、いい話ばかりでなく、とわだ道の駅(青森県)で無農薬と謳って売られていたニラから、国の抜き打ち検査によって基準値の77倍の残留農薬が検出されたケースも盛り込まれる。不祥事も扱ってバランスをとるところが、いかにもNHKらしい。

アレマ

   *NHKクローズアップ現代(2009年11月19日放送)

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