都心で姥捨て山状態の怪 栄養不足が高齢者を襲う
イギリスの改善策とは
かつてイギリスでも同じことが起こった。これを克服した町をカメラが訪ねた。イングランド北部のシェフィールド。かつては鉄鋼の町だったが、1980年代にすたれ、国の政策で大型スーパーが乱立し、商店街が消え、住民も去った。中心部エドワード地区の公団住宅に住むお年寄りたちが、前出の水戸の女性と同じ状況におかれた。最寄りの店まで1キロを歩く。
流れを変えたのはブレア政権だった。従来のトップダウンの地方自治から、パートナーシップと呼ぶ企業、市民、NPO、市当局の協議による町づくりへの転換だった。シェフィールドには98年にできた。エドワード地区の人たちは、「店がほしい」と訴えた。
それには人の流れを復活させないといけない。すると、協議会の大学関係者から、中心部の工場跡地に学生寮をという提案があった。学生も町の中心に住めるし町の活性化にもなる。ディベロッパーが投資を申し込み、公団住宅を囲むように学生寮が計画された。
その結果2000人を超える学生がやってくる。そして待望の食料品店ができた。計画から8年が経っていた。協議会に携わったNPO代表は、「何を望むかを聞き、人々がそれぞれにあらゆる努力を惜しまなかった」という。
新藤教授は、水戸市などの状況を「坑道のカナリヤだ」といった。都市が病んでいるという警鐘だと。国谷裕子はまた「本格的対策の前に、明日のお肉、野菜をどうするというのがある」という。とりあえず行政ができることはまだまだあると。
ひとつ、コンビニが出てこないのが気になった。いまコンビニ弁当はホントに安いのだから。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2010年2月1日放送)