日本の農地が消える日 止められるか耕作放棄
<テレビウォッチ>今回の放送は、いつもの国谷裕子キャスターに代わって、森本健成アナがお伝え。ときどき国谷の代役をつとめるこのアナは、一見スマートな感じに見せていながら、どこか抜けた大ポカをやってくれそうで、いまいち油断できない取引先のサラリーマンといった雰囲気が漂う。
一括借り上げ・貸与
今回の番組の結びでは、「今晩はゲストに盛田清秀・日本大学生物資源科学部教授を迎えてお送りしました」 と、あらためてゲストの御芳名を紹介するところ、森本はどこに躓いたのか、2度も手元のペーパーに目を落として気まずい時間の空白をつくり、視聴者をやきもきさせてくれたものである。どうにも結婚式の司会はやってもらいたくないタイプだ。
さて、内容のほうは「耕作放棄地」について。冒頭のつかみは俳優の菅原文太だ。俳優業を半リタイアして、農業に取り組んでいることはつとに知られるが、その土地が山梨県の耕作放棄地なのである。番組は「有名人の菅原さん、農業に取り組む」にはクローズアップせず、年々歳々休耕地が増え、荒廃ジャパンが進んで行くといった社会現象にフォーカスする。
番組は基本フォーマット「問題と対策」に基づき、長野県は宮田村の「宮田方式」(村が耕作放棄地を一括して借り上げ、営農希望者に貸与する)などの努力、取り組みを取り上げていく。が、ゲストの盛田教授の意見は「農業の根本的な問題を解決しなければ、耕作放棄地は減らせない」。
農地の需給バランス
農地の需給バランスが完全に崩れているのが現状であり、農地に需要がないから放棄地が増える。若い人が農業に入ってきて、収益的な農業ができるようになり、農地に対する需要が生まれるような取り組みが必要だというのである。
と、森本がすかさず、「農業自体がおカネが稼げる産業でなかれば、魅力もできないということですね」と合いの手を入れる。結局はゼニカネであるということで、今晩はじつにシンプルかつ力強い結論になったようである。
ボンド柳生
* NHKクローズアップ現代(2010年2月2日放送)