2024年 5月 6日 (月)

「無料」なのに収益800億円 その圧倒的力と行動経済学

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「タダ」で分別なくすことも…

   ひとつはIT界で巻き起こっている凄まじい価格破壊の波。コンピュータの内部で情報処理を行う集積回路や記憶装置、それに通信回線が飛躍的に性能を高め、その結果、価格が驚くほど安くなっている。この価格破壊が無料ビジネスの原動力になっているのだ。

   もうひとつの背景は、ゼロの魔力。人間の非合理的な金銭感覚を追究してきた行動経済学のダン・アリエリー教授(デューク大)が2007年に発表した論文の中で「無料という価格は従来の経済学では説明のつかない特別な価格」であると指摘し注目された。

   教授が行ったのは2種類のチョコレートを使った実験。一般的なチョコを1個2円で、高級チョコを1個27円で売りに出した。客が圧倒的に選んだのは高級チョコだった。

   次に、両方とも1円づつ値下げして売りに出したところ、結果は同じだった。価格差が同じなら消費者の行動は変わらないとする従来の経済学が予測する通りだった。

   ところが、もう1円づつ値下げし一般的なチョコをゼロ円にしたところ、価格差は変わらないのにアッと今に一般的なチョコが「売れた」という。

   教授は「『無料』が人々を捉え、魅了する力は強力で、分別を無くし不利な選択さえしてしまうこともあるほど」という。

   アメリカでは、医師が患者の症状や検査結果を記録する無料の電子カルテシステム医師たちが一斉に利用し始めたという。これまで安くても10万円以上していた電子カルテシステムなのに無料で、一部の医師から有料コースで料金を取るということもしていない。

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