2024年 4月 30日 (火)

ドラッカー読みのドラッカー知らず 「いい会社」の試験紙とは

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きっかけはブーム

   そのドラッカーに魅せられたきっかけをドラッカーが著者から聞いたら苦笑するに違いない。インターネットのオンライゲームがきっかけというのだから。

   著者は岩崎夏海。そのゲームとは、見知らぬ18人の人間とチームを組み、岩崎がリーダーとなって敵と戦う内容。

   しかし、18人のなかにはゲームを始める時間に遅れたり、互いにミスを批判したりでケンカが絶えず、人間関係は悪化するばかり。

   岩崎は、問題児に頭を悩ませ、コイツさえ居なければうまく行くのにと怒っていた時、ドラッカーの言葉に出会った。『人は問題を起こす、費用であり脅威である。しかし、人こそ最大の資産である』(『マネジメント』)だった。

   そこでメンバーの使用法を見直し、目立ちたがり屋で問題を起こすが、積極性のある1人に注目し、切り込み隊長に任命。無口で存在感は薄いが、約束を守る1人をサブリーダーに抜擢した。

   結果は上々、チームは常勝軍団に生まれ変わったという。

   キャスターの森本が「どういうふうにご覧になりましたか?」に、糸井は次のように答えた。

「ドラッカーが言いたいのは、横の人に勝てという話ではなくて、前を向けという指示しかしていない。歩く先の道を教えてくれている」

   また上田も「ドラッカーは『人こそ最大の資産である』とシンプルに、誰でも納得するようにスーッというが、読み手は『人だけが最大の資産である』と読むべきです。その重みをどれだけ受け止めるかは人それぞれ。ドンピシャ受け止める人もいるんです」

   また、ドラッカーは良い組織かどうかを見極めるために、次の3つの質問を用意している。

『会社で敬意が払われているか』『仕事上の能力を高めようと思った時、会社は応援してくれるか』『あなたが貢献してくれることを会社は知っているか』

   上田は「あなたの会社はどの程度のものかを聞いている実に恐ろしい質問です。会社がいか程のものか、どれだけ人を大事にしているかを知るリトマス試験紙みたいな質問ですよ」

   世間の批判をよそに、バッサバッサと派遣切りを行ない、正社員まで切り捨てている大企業はさぞかし耳が痛いだろう。

   そんな組織に手厳しいドラッカーが、今ブームになっているわけについて糸井は「成長を創り出すということは希望を創り出すことですから、これだけ暗い話ばかりだと希望につながるものが読みたいのではないかな……」と。

                     

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2010年3月17日放送)
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