夢は口に出してしゃべってしまおう。不思議とコトは動き出す
話さなければ始まらないとよく言われるが、近頃、自分のやりたいことを口に出して言うことの重要性を感じている。
「なんでも言ってみるもんだ。そこから何か生まれるかもしれない」
今回は、ちょっと夢のようなお話。
軽井沢朗読会館
仕事で長年お世話になっている某局女性アナウンサーが、定年退職に合わせてあることを実現させた。彼女がライフワークで続けてきていた朗読活動の集大成として、軽井沢にレコーディングスタジオを備えた朗読の公演用ホールを建ててしまったのである。その名も「軽井沢朗読館」。別荘地の突き当たりの小さなホールだけれど、音響学を取り入れ、人の声を最大限に響かせるような設計になっている。広い敷地に建てられたので、野外劇場としての適応も可能だ。
この大型連休にプレオープンという形でお披露目することとなり、彼女と親交があるミュージシャンや直木賞作家の面々が、連日ライブやトークイベントを行う。
「朗読のためのホールを作りたい」
数年前から彼女はよく口にしていた。しかし、勤め人の給料で、いや個人がホールを建てたいなんて無謀すぎる。この人、どこまで本気なんだろう、夢見る時期をとっくに過ぎているのに……と、ホール建設の話を聞いたときは話半分だった。
ところが、しばらくすると、土地購入の目途がたった、設計をお願いできる方が見つかった、設計図はこれになるんだけれど――と、話はどんどん具体化していく。それも通常より格安料金でできたらしい。強引な手法を取ったわけでも、首が回らなくなるような借金をしたわけでもない。いったいなぜ、夢を形にできたのか。
彼女がお願いが上手だったからなのだ。アナウンサーという職業も幸いし、様々なジャンルの専門家と仕事を通じて出会うことが多い。それを次へつながる力に変えていったのだ。