2018年 7月 21日 (土)

日本農業「海外進出」始まった!新富裕層狙い現地生産・販売

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   日本の農業が海外に続々と進出している。武器は狭い農地での高い品質、高い収穫に工夫を凝らした生産管理技術。農薬や化学肥料を使わない有機栽培などが海外で人気となっているのだ。進出農家も「日本の農業技術は世界一。間違いなく勝てる自信はある」と言う。

   土地の安い海外で生産し、そのまま現地で販売する「現地生産」「現地販売」を目指していて、対象先はアジアの新興国である。

最大手「ドール」に匹敵する販売量

   経済成長が続くタイ・バンコク。日本法人によって現地で栽培されたバナナが、デパートや高級スーパーの店頭で富裕層を中心に人気だ。農薬や化学肥料を使わない有機栽培がその理由で、価格は通常に比べ3倍ほど高いが、250店舗で売られ販売量は世界最大手のドールに匹敵する。

   生産しているのは千葉県から進出した農事組合法人。徹底した日本流の生産管理技術を用いて6年前から開始した。100か所の農場を毎月定期的に点検し、隣の農家で農薬を使っていれば農薬が飛んでこない距離まで栽培場所を離す。

   タイでは富裕層の購買力が今後10年で4倍近くになると見込まれ、長野県のブドウ農家はタイで市場調査したところ、アメリカやオーストラリアからの輸入ブドウに比べて「甘さで勝てる」と自信を得た。

   課題もあった。タイはブドウ栽培には雨が多すぎるうえ、土の養分も不足している。そこで地面に植えずに鉢で育てる方法を考えた。鉢にブドウを植え付け、水はけや養分を含む土の配合などを研究して技術的なメドはついた。早ければ5月にも試験栽培を始めるという。

メイド・バイ・ジャパニーズ

   農業経営が専門の本間正義・東大大学院教授は「頼もしいですね」と話す。

「日本の農業が世界をターゲットに展開していくには2つの方法があります。1つは日本で作って輸出する。もう1つは技術とか農業経営そのものを輸出してしまうやり方です。
   その後半部分の展開が始まった。『メイド・イン・ジャパン』だけでなく、『メイド・バイ・ジャパニーズ』という新しい展開です」

   とはいっても、マーケットは国内と考えてきた日本農業がいきなりの海外進出には不安もある。森本健成キャスターは「見ず知らずの土地に行っていきなり農業を始めるわけで、成功のカギはありますか」と聞く。

「技術だけではダメ。現地に行ったら農地を手に入れなければならないし、人も雇わねばならない。現地の慣習や商いを理解する必要もあります。なにより大事なのは作ったものをどうやって売るか、流通が最大の課題となりますね」(本間正義教授=前出)

   農業の世界戦略とでもいうのか、都内のベンチャー企業が取り組んでいる製造業の手法を使った農業ビジネスも面白かった。優れた日本の農業技術をマニュアル化して無償で海外の企業に配布、マニュアル通りに栽培してもらう。栽培した農産物をベンチャー企業が全量買い上げ、アジアなどの新興国へ流通させようという戦略だ。

「着想は素晴らしいが、製造業のようにはうまくいかない」(本間正義教授=前出)

   気候変動や病虫害の発生にどう対処するか、農業は変動要因が多く、マニュアルプラスアルファが必要だというのだ。

   関税自由化などで、このままのやり方では先細りが見えてきた日本農業。こうしたパイオニア・ワークの努力に期待が集まっている。

NHKクローズアップ現代(2011年3月9日放送「シリーズ変わる農業 味と質で勝負ニッポン農業に勝機あり」)
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