2024年 5月 19日 (日)

被災者の言葉拾って歩く南相馬の詩人―「説明せよ 時よ罪よ」

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佐野眞一「傷口が広がっているときは心も開いている」

   ノンフィクション作家の佐野眞一さんは和合さんの活動に「共感します」という。震災1週間後に陸前高田に行った。真っ暗な廃墟に満月が出ていた。「死んだ人たちが最後に見た風景を生きながら見ている。何とか言葉にしないといけないと思った」と話す。

   原発近くの牧場では牛が飢えて死んでいた。牧場主に「東電に言うことはないか」と聞いた。答えは「ない。悲しそうな牛の目を見てくれ。それだけ」だった。

   ゴーストタウンで点滅し続ける信号機の不気味。この電気は東北電力の電気だ。なのに原発の電気は東京へ送られる。佐野さんは言う。

「福島は悲しいなという共感と想像力がそこなわれたら…。日本人全体が問われている。残酷に聞こえるかもしれないが、傷口が広がっているときは、人の心も開いている。そこへ言葉を発すれば、体験が共有できると信じている」

   そうなのだろう。だからこそ、和合さんの紡いだ言葉は被災者に吸い込まれていく。出口の見えない不安の中で、表現者にいま求められているものは、自身が思うよりもさらに深く重いのかもしれない。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2011年8月1日放送「福島を生きる 詩に刻む被災地の言葉」)
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