2024年 5月 4日 (土)

元寇の巨大軍船「長崎沖で発見」引き上げ・保存に難問

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木の劣化、塩抜き、乾燥どうするか

   元寇船を追って30年以上になる水中考古学者の荒木伸介さんは、かつて木製のイカリ3つを見つけている。いずれも同じ南を向いていて、3隻が停泊中に強い南風にあおられ、イカリが千切れた状態とみた。少なくとも「神風」は推測できたのだった。

   それが今度は船が丸ごとだ。何人もの学者、研究者が海底の映像からさまざまに思いをめぐらす。たとえば、レンガはしっくいがついているので、煮炊きのかまどだったか。南宋の磚(せん)というものに似ている。元が支配下に置いた南宋人が加わっていたのか。遊牧のモンゴル人に船の建造や操船は無理だ。切りそろえられた板は奴隷を運ぶ「寝棚」ではないか。南宋人を兵士として使っていた可能性がある。全てがモンゴルの精鋭部隊ではなかったとなると、元寇の役のイメージも変わる。

   たった1隻分だけでもこれだけの読みができる。荒木さんは「船には生活文化全体が凝縮されている。1隻に200人 から乗っていたんですから。他のところでも見つかったら大変なことになる」という。

   ただ、課題がひとつある。水からの引き上げだ。そのままだと木はたちまち劣化してしまう。どうやって塩を抜き、乾燥させ、保存するか。手間と金と場所が必要で、韓国ではそのための国立研究所を作ったという。

   元寇は日本が一方的に攻められたたった1度の例だ。しかも敵は全滅している。目的や規模、技術のレベルなど、知りたいことはいっぱいだ。その謎解きに国もひとつ乗って欲しい。日本中が成果を待っている。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2011年12月9日放送「海底で発見!幻の軍船~730年前 元寇の謎~」)

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