2024年 5月 19日 (日)

3・11から1年のデータマップ…避難住民9割が家族離散状態

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

移住先で住民登録―薄れる地元とのつながり

   避難者のデータマップは人の動きを初めてとらえた。岩手、宮城、福島3県で避難者は47万人。うち県内が27万人だが、原発事故で県外避難が多い福島の6万2674人のデータはさまざまな問題を提起していた。

   避難先で一番多いのは山形の1万2973人だ。うち8000人の動きを確かめた。事故直後はまず沿岸部の人たちが避難した。ところが7月になると、内陸部の人たちが大量に動く。山形県が6月に住宅の無料提供を始めたからだ。8割が夫を福島に残した母子の避難だった。放射線による子どもへの影響を心配したからである。

   町ぐるみで避難した双葉町の7000人の1年間の動きは、さらに深刻だ。いま42の都道府県に散らばる。なかでも1か所に500人というのが埼 玉・加須市の高校跡である。住居は教室や体育館、いまも3食とも弁当の生活。職員室は町役場になっている。車イスの渡辺マサさん(92)が「笑顔を写して」と笑った。ここへ来てから介護が必要になってしまった。「人生ははたして幸せだったのかな。悲しいです」という。はじめ1400人がいた。出ていっても「避難所へ行けば顔見知りがいるから」とすぐ近くに住む人が多い。あとから移ってくる人も絶えない。

   関西学院大学の山中茂樹教授は、「避難所ではなく、放射線量の低いところにでも復興住宅を作る方がいい。移住先で住民登録をしてしまうと、地元と切れてしまう」という。3県の避難者は47都道府県にいるが、90%が家族離散状態にある。個人情報のカベで照会もできない人が増えているそうだ。

   山中教授は「『故郷県民カード』みたいなものを作らないといけない。受け入れ側も『在留登録』にしないと、元と先がつながらなくなる」という。政府が動けばすぐにもできることだろう。

    データマップはツイッターなどで発信した記録の解析もやった。亡くなった人たちの追跡からは、生き残る条件までも割り出した。記録はただの数字ではない。一人ひとりの生き様を雄弁に語る。震災を解析する新たな視点をも含んでいるはずである。

   NHKクローズアップ現代(2012年月日放送「震災データマップ 記録が語る新事実」

文   ヤンヤン
姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中