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「収束宣言」しても終息しない福島原発「再事故」の不安
「『原発収束宣言』は撤回すべきだ!73シーベルトの地獄」は「週刊朝日」おなじみの福島第一原発幹部が語るシリーズである。東電は3月27日に福島第一原発2号機の格納容器内で毎時72・9シーベルトの放射線を観測したと発表した。人間は7ミリシーベルトを浴びると100%死亡するといわれるから、この放射線量は5分46秒で人を死に至らせるものすごい値である。
フクイチ幹部はこういっている。
「ある程度、高い放射線量は予想していたが、実際に73と言われると、改めて恐ろしさを感じる。メルトダウンした燃料が圧力容器を突き破り、格納容器まで達していることは、これではっきりした。燃料が溶け落ち、その粒子が容器の中をグルグルと回っているのだろう。助かっているのは、温度が50度前後で収まっていることです」
内視鏡検査で格納容器内の水位がわずか60センチしかなかったことも判明した。毎時9トンもの汚染水はどこへ消えたのか。
「格納容器の下にある圧力抑制室に行った水は地下に流れ込み、果ては地面にしみ込んでいる。事故後すぐに『遮水壁を設けるべきだ』という話になり、設置する予定だった。しかし、いま現在も実現していない」(フクイチ幹部)
先延ばししているのは予算がないからだという話も聞こえてくるが、カネを惜しんでいる場合ではないと幹部は憤る。周囲への汚染拡大を食い止める方策も打たない政府・東電は、実現の可能性が不透明な廃炉に向けた工程表を発表しているが、高い放射線量のため作業員は近づけないし、これほどの高い線量に耐えられるロボットはないという。
3月上旬に福島第一原発を視察した自民党の佐藤正久参院議員はこう話す。
「余震で倒壊の危険がある4号機への対応が最優先され、廃炉のことなどとても考えられない。見れば見るほど背筋が寒くなる思いでした。原発事故は『収束』ではなく『終息』させるべきだ」
4月5日付け朝日新聞が、「東京電力は5日、福島第一原発で放射能汚染水の浄化処理で出る廃液がホースから漏れたと発表した。水漏れは止まったが、排水溝から一部が海に流れた可能性が高いという。漏れた量は約12トンとみている。3月26日にも近くでホースから廃液が漏れた。
3月26日に漏れた廃液は、放射性セシウムで1リットルあたり1万ベクレル、放射性ストロンチウムなどベータ線を出す物質の放射能総量は1億4千万ベクレル。今回もほぼ同じ濃度とみられる」と報じた。
原発事故はいまだに収束どころか、いつどうなるかわからない状態を脱してはいないのだ。永田町のサル芝居ばかりに目がいく昨今、地道に原発事故の報道は続けていくべきである。