<NNNドキュメント'12「戦場に咲いた小さな花 山本美香という生き方>
彼女は戦場で何を撮っていたのか…あきらめないジャーナリストの柔らかな眼差し
2012.10.21 10:00
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「チクショウ!」ただ1度だけ彼女は怒りを叩きつけた
衝撃的だったのは、イランのバグダッドで宿泊していたホテルの隣室が砲撃され、知り合いのカメラマンが亡くなったときの映像だ。不安げに「(砲撃は)どこなの」と叫んで館内を歩き回り、切れ切れにむせび泣きと悲鳴のような声をあげ続ける。そして「(被弾したのは)通信社の人じゃん、いつもの」と叫び、最後に「チクショウ!」と怒りを叩きつける。声を荒げた瞬間は、全編通してもここだけ。秘められていた激しい怒りに、「なぜ、ここまでできるのか」という問いが氷解する一瞬だった。
そして、娘の死を知らせる電話に応答するお父様が立派だった。長い沈黙のあと、「死因は?」と尋ねる。電話先が慮って言い淀んでいる空気に気が付くと、「言って」と促す。「首を撃たれて、か。それは…認めざるを得ない」。嗚咽まじりに、でも電話先を責めるような様子はなく、聞くべきことを聞き、早く会わせてほしいと頼む。この父にしてこの娘あり、彼女が父に憧れてこの世界に飛び込んだことが納得できるラストシーンだった。(日本テレビ系10月15日0時50分)
(ばんぶぅ)