去年(2011年)の4~6月期に放送された「JIN-仁」以来、久しぶりの時代劇である。民放では時代劇は絶滅寸前だったが、「JIN-仁」で時代劇も受け入れられることが実証され、こういうドラマが後に続くのはうれしい。また、原作のよしながふみのマンガ「大奥」は評判が高く、友人も面白かったと言っていたので、私にとっては今シーズン期待の1つだ。
将軍が男だったらどうなるか?ひっくり返すと見えてくる新しい歴史
「男一人に女三千、嫉妬と権謀うずまく大奥」というテーマは、女たちの衣装の華やかさ、そしてノゾキ趣味、はてはエロ期待もあって、昔流行ったこともある一大ジャンルである。これはそれを逆手にとって、男女逆転、将軍が女だったらどうなるかという一種のSFパロディだ。
パロディは、自明とされている価値観を別の面から照射することで強烈な批判となる。ドラマを見る女たちは大いに面白がり、男たちは居心地の悪い思いがすることだろう。古今東西、ハーレムは1人の権力者の男を中心に作られてきた。そのことにほとんど全ての男たちは疑いを持たない。このように逆転の世界を目の前に見せられなければ。
ただ、同じ原作による映画「大奥」(2010年)と比べると、映画が男女逆転が当然となった世界を描いているのに対し、ドラマはさかのぼって「なぜ大奥が男女逆転するようになったか」の説明をしている。そのせいか、映画の方がインパクトが大きかった。原作の順序に沿って作られているので、やむをえないが。