2024年 4月 27日 (土)

とっくにお試し済み安倍首相!6年前の「第1次アベノミックスという災害」忘れたか!?

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「経済においては、我々は金融政策と財政政策、それに成長戦略の3本柱で危機を突破していきたいと考えております。先の自公政権時代は、円高は是正できましたが、デフレからの脱却はあと一歩のところで果たせなかった。この反省の上に立って、経済政策におけるパワー不足を補うため、次元の違う政策を打ち出していこうとしています。とりわけ金融政策については、伝統的な手法にとらわれず、インフレ・ターゲットを設けて、大胆な金融緩和を行うという目標を掲げました。いろんな批判があるかもしれませんが、ご存じの通り、2%という目標を示しただけで、実際に為替は動き、株価も上昇しましたね。(中略)
   一方では、仮に株価が上がったって、一部の金持ちの利益にしかならないじゃないかと批判する方もいる。しかし、これは間違いです。なにしろ年金の運用の一部は、株式市場で行っているのですから。したがって、株価を上げていくということはとても大切なんです。たとえば、先に私が政権を担わせていただいた2006年から翌年にかけては、日経平均が約1万4000円から約1万8000円にまで上がりました。これによって、3兆円の運用益が出たんです。つまり、経済成長を続け、確実に株価を上げていけば、年金などの財政的な基盤も強化されていくわけで、非常に重要な点だと考えております。我々はこの経済政策で断固としてデフレから脱却するんだ、円高是正を進めるんだという強い国家意思をマーケットに示していきたい。(中略)
   先の安倍政権時代には、金融の量的緩和のおかげもあり、名目GDPが513兆円に増え、税収も51兆円まで数兆円増加した。しかし、そんな中、2006年の前半に日銀は金融の量的緩和をやめてしまったんです。デフレ・ギャップが埋まったという判断からです。しかし、その後、デフレ・スパイラルに陥り、日本経済は閉塞状況から抜け出せなくなった。もしあの時にインフレ・ターゲットを導入していれば、まだ物価上昇率が足らなかったわけですから、量的緩和は続けられていました。そうすれば、GDPは名目が実質を逆転し、デフレ不況からも脱却できていたのではないかと悔やまれてなりません。(中略)
   前回の総理在任中に靖国を参拝できなかった事は痛恨の極みだと申し上げました。やはりお国のために一生懸命働き、尊い命を失った英霊たちに国のトップが崇敬の念を表明するのは当然のことで、どの国のリーダーもそうしています。(中略)
   我々は民主党政権と違い、『二番』ではなく、『世界一』を目指しますから。あらゆる分野で世界一になることによって、日本を復活させます」

   読んでいただけばわかるように、これは「週刊新潮」に掲載された安倍晋三総理(対談の時点では自民党総裁)がインタビュアー櫻井よしこに対して語った言葉である。櫻井は安倍とは近く、一時は大臣に指名されるのではと噂されてもいたから、安倍の意に沿わないことは聞いていない、新味のないインタビューではあるが、安倍が景気浮揚になみなみならぬ覚悟と自信を持っていることがわかる。

参院選までは景気対策。ねじれ解消したら一気呵成に憲法改正

   しかし、本当にそううまくいくのだろうか。「週刊文春」はアベノミクスで起きる安倍バブルへの「完全対応マニュアル」を巻頭にもってきている。その中で安倍総理の腹心である世耕弘成官房副長官は安倍戦略をこう語っている。「とりあえず、七月の参院選までは金融緩和と財政出動で、アクセルを踏んで景気をよくしましょう、というのが基本姿勢。あとは日米関係の修復ですね。それ以外は安全運転でいき、参院選での勝利、ねじれ解消を最優先に考えていくことになる」

   金利が上昇するからマンションを買うなら今すぐ買え。安倍銘柄はゼネコンや軍需産業関連株。インフレ下では現金や銀行預金の価値が目減りするから、ユーロやカナダドル、オーストラリアドルを買え。コメの値段や回転寿司の値段は上がるが、相対的にはアベノミクスは庶民の生活を潤すことになるかもしれないと、文春は安倍政権に期待しているようである。

   靖国神社公式参拝はもちろんのこと、新潮の連載「世間の値打ち」で福田和也は「自民党大勝で待望の憲法改正」ができると、安倍総理への期待度90点と安倍賛歌である。景気を回復させて、中国がどう反発しようと靖国参拝をして、数を頼んで憲法改正までやろうというのだが、ちょっと待ってほしい。

   病という問題もあったが、第一次安倍政権がどれ程のものだったのか。彼にそれほどの手腕や実行力が期待できるはずはないことを、メディアも日本人も忘れてしまっているのではないか。新潮の名物コラム「墓碑銘」で『県民性』(中公新書)を書いた文化人類学者・祖父江孝男が86歳で亡くなったことの中で、祖父江が日本人の国民性をこう述べていたと書いている。

「災害への反応にあらわれる日本人の国民性として、秩序は維持されやすく、被災者救済に励むが、忘れやすく、注意はすぐになおざりにされる。合理的な用意周到さは軽んじられ、災害は繰り返される」

   あの時の安倍内閣という「災害」を忘れてはいけない。どれ程優秀で実行力のあるトップでも、デフレから脱却して景気を回復させることは容易なことではない。期待が失望と怨嗟に変わる日が再び来るのは、そう遠くないと思う。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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