<Woman>
世の中の不運すべてを背負ったシングルマザー!折れそうな満島ひかり痛々しい…誰か助けてあげて

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   何もここまで、というくらいに不幸を一身に集めたようなヒロインである。2人の子供を抱えたシングルマザーを演じる満島ひかりが、今にも折れそうなほどやせているのがさらに痛々しさをかきたてる。白血病という設定がすごく自然に見える。

   小春(満島ひかり)は夫(小栗旬)を突然の事故で亡くし、3歳の娘とまだ乳児の息子とともに残される。赤ん坊を胸にくくり付け、片手で上の子の手を引き、片手でベビーカーを持って駅の階段を上がるところなど、どんなにか大変だろうとため息が出る。その姿で仕事を探さなければ生きていけないのだ。

   それでも何とか子供を保育園に預け、夜昼かけもちで働いて3年間がんばったが、体調を崩し、ついに行き詰まって生活保護を申請に行く。すると、窓口で「誰か援助してくれる親族はいないのか」としつこく聞かれる。このあたり、新聞をにぎわしている生活保護削減の現場を反映している。今まであまりドラマには登場しなかった場面だ。

   頼るべき実母は、小春が小さい時に男とともに家出した。しかし、福祉課の問い合わせに「援助する意思がある」と応答したため、小春は生活保護を受けることができない。そこで母を探し当て、援助の意思を取り消してもらおうとするのだが、書類を書いたのは母ではなく男だった…という次第で、否応なく母親とのかかわりが生じるのだ。

徐々に明らかになってゆく夫の事故の謎や生い立ち…小春親子は救われるのか

   ちょっと連想が飛躍して恐縮だが、人間はやはり群れで生きるようにできていると思う。個人の頑張りだけでは乗り切れない。「一人では生きていけない」とはよく言われることで、「愛がなければ生きられない」と続きがちだが、そんなロマンチックなものではない。愛し合う夫婦、あるいは親子だけでも生きていけない。

   われわれヒトは何万年も集団で狩りをして暮らしてきたのだ。牙も爪もないのに自分より大きな獲物を狙って。道具の使用が重要視されがちだが、キモは「協力」だったのではないか。たとえば、最近までゾウを狩っていたアフリカのある人たちは、男たちが総出で何日間も飲まず食わずで獲物を追いかけたという。その間、木の実、草の根を採集し、子供たちの面倒を見る女や老人は、自分の子供だけを見ているわけにはいかない。父親が獲物に逆襲されて命を落としたり、母親が病死したりして残される子供も少なくなかっただろう。

   何万年もやってきたことが、たかだか近代に入ってからの制度では変わらないのではないか。われわれはもっと自然に助け合うようにできているのではないか。こう言うと、困窮の責任を政治や制度に求めようとする友人たちから袋叩きにあっちゃうんだけど。ただ、助け合おうとする範囲が狩り集団の大きさ、せいぜい30人程度にしか及ばないだろうとは思う。それが問題なんだよなあ。

   なお、徐々に明らかになってゆく夫の事故の謎や生い立ちについては、今後の展開が待ち遠しい。どうか、小春親子が少しでも救われますように。(日本テレビ系水曜よる10時)

(カモノ・ハシ)

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