2024年 5月 6日 (月)

水銀規制「水俣条約」あの悲劇防げるか?生産・使用制限緩く、住民の健康管理も奨励レベル

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処分場少ない日本…不法投棄でゴミ焼却炉から高濃度水銀

   「水俣条約」は水銀の生産、使用、貿易、処分までを規制する。ただ、規制は緩い。金の採掘は禁止されない。住民の健康管理は「奨励」だ。新規開発は禁止だが、既存鉱山の生産は条約発効から15年可能となっている。多くの国に参加を呼びかけるためで、140の国が参加した。

   条約の発効は早ければ3年後。日本が求められるのはリーダーシップと輸出の削減、安全管理だ。日本も足元が問われている。なにしろ有数の輸出国なのだ。電池や蛍光灯から水銀を取り出すリサイクルは自治体・事業者が費用を払う。リサイクル工場は大半を輸出して、その売り上げで処理費を低くしている。その結果、近年の輸出量は増えていた。条約でこれが規制されると、新たな問題が生じる。処理費用が高くなると不法投棄の増加が懸念される。平成22年7月、都内の5つのゴミ焼却炉で排ガス中の水銀濃度が異常に高くなった。以後も断続的に続き、都は「偶然ではない。意図的、計画的に何者かが水銀をゴミに混ぜた」という。

   処分も難物だ。アメリカはネバダ砂漠の軍の倉庫に5000トン以上を保管する。ドイツでは地下800メートルの施設に永久封じ込めだ。しかし、人口が密集する日本では場所の確保は容易ではない。

   いま環境省が注目しているのが京都大学の研究だ。特殊装置で液体水銀を毒性の低い粉末の硫化水銀に変える。これだと、水銀含有を監視できる管理型処分場に持ち込める可能性がある。環境省は「一番有力な処分方法だ。3年後にはルールも作る」という。

   はたしてすんなりといくのだろうか。お隣中国のPM2.5のスモッグを思い浮べただけでも、「犠牲者が出ないと、いや、ことによると出てもわからないのではないか」と、いささか悲観的になる。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2013年11月7日放送「動きだした水銀規制~水俣の教訓をどう生かす~」)

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