生臭さ坊主も一枚噛んで「出家詐欺」横行!多重債務者を僧侶に仕立ててローン騙し取り

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   お寺を舞台に新たな詐欺の手口が水面下で横行している。出家すれば戸籍の名前が変更できるのを悪用し、多重債務者を僧侶に仕立て上げて名前を変え、金融機関から多額の住宅ローンを騙し取る出家詐欺といわれる手口だ。

   背景には、檀家のお寺離れで収入が減り、経営難に陥っている寺や宗教法人が増えているという現状があり、経営に行き詰ったお寺を多重債務者に仲介するブローカーまで暗躍している。

得度受けさせ戸籍名変更で『別人』

   日本には7万5000ほどの寺があり、コンビニよりも数は多いらしい。数が多いのは、キリシタンを禁制にするために、住民を寺に縛り付けた徳川幕府の宗教政策が影響しているという。数が増えた寺にその後に宗教法人格が与えられ、そのまま推移してきた。

   しかし、葬儀や法事に対する一般の意識が変わって簡素化が進み、経営が行きづまる寺が増えてきた。現在、全国の寺のうち3割ほどが経営悪化の状態という。こうした寺の苦境につけ込んだのが出家詐欺だ。僧侶になるための儀式を得度というが、得度を受けると僧侶としての名前が与えられ、家庭裁判所で簡単な手続きで戸籍上の名前とすることができるこの仕組みに目を付けた詐欺グループが、経営難の寺の住職を巻き込んで多重債務者を次々に別人に仕立て上げ、金融機関から多額の住宅ローンを騙し取っているのだ。

   京都府警は昨年、300年の歴史を持つ滋賀県大津市の定光坊住職、三浦道明被告(49)を1億3000万円余りを騙し取った4件の出家詐欺事件にかかわったとして逮捕、起訴した。多額の債務を抱えた三浦に詐欺グループ(ヤミ金融グループ)が計画を持ち込んだ。借金を帳消しにしてやる多重債務者に持ちかけ、三浦に依頼して得度を受けさせた。関係者の証言によれば、「1日だけ白い服を着せて、何年も修行したようなふりをして写真を撮るだけ」

   得度を終え僧侶として法名の与えられた多重債務者は、三浦が作成した得度を証明する書類と得度の写真を持って家裁に行き、戸籍の下の名前を変更した。「完璧な書類と修行している写真がそろっていれば信用するでしょう。宗教の力ですよ」と詐欺グループは悪びれる風もない。

   こうして名前を変えた多重債務者は偽造した源泉徴収証を銀行に提示し、京都市内のマンションを購入する3000万円の住宅ローンを組み、3000万円は仲介した不動産業に支払われた。実はこの不動産業者は三浦や詐欺グループとグルで、本来のマンション価格が2400万円のところを600万円水増しし、それをみなで分けあっていた。多重債務者はその後、雲隠れしローンの返済を免れたという。

暗躍するブローカー!ネットで「改名のメリットは計り知れない」「ブラックも消えて人生メリット」

   なぜ銀行は多重債務者が名前を変えたのに気付かなかったのか。銀行関係者は「ローンの契約で戸籍謄本の提出を求めるのは非常に難しく、下の名前を変えたのを見抜くのは正直いって無理」という。

   この出家詐欺はかなりのペース広がっているらしい。NHK記者がインターネットで検索すると、「改名のメリットは計り知れない」「ブラックも消えて人生メリット」といった文言が躍るブローカーのホームページがいくつも見つかった。その一人、関西在住のブローカーに記者が当たった。「檀家さんが少ないところがあるんです。法事・法要でお金が入ってこないのでお金が回らない。となれば、僧籍を取得させる代わりに見返りをもらうということでビジネスが成り立つ」とまるでビジネスマン気取りだ。

   「お寺を継続するのが難しくなってきたとすれば、いったいどうすればいいですか」という国谷裕子キャスターが聞く。解説するのは、宗教法人に詳しい慶応大学の中島隆信教授だ。「日本人の心の中には、仏教に対し、帰依しようという気持ちがあると思っています。仏像の前で手を合わせる習慣もある。そういう習慣が残っているうちにお寺がもっと信者に働きかけて、国民の宗教心を高めてほしいですね。それが本来の役割だし、今がそのチャンスだと思います」

   京都人が憤慨しながらこんな話をしていた。肉店で牛肉の細切れを買っていたら、どこやらの僧侶がやってきて、極上の牛肉の塊を買っていったという。こんな風景を見せられれば、仏像には手を合わせるが、お寺との付き合いはほどほどでいいとなる。

   危機感を強めた臨済宗妙心寺派の大本山(京都市右京区)は、不活動なお寺を解散や合併させるプロジェクトを4月(2014年)に立ち上げ、4人の僧侶を専従員に任命したという。むしろそのほうが現実的に思える。

モンブラン

*NHKクローズアップ現代(2014年月日放送「追跡『出家詐欺』~狙われる宗教法人~」)

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