漫画で伝えたい読みたい「福島原発事故の本当」避難経験や作業員体験を描こう!
エンターテイメントだけでいいのか?漫画家たちの自問自答
国谷「ずいぶん多くの作品が、こうやって漫画家たちに描かれてきているんですね」
ゲストの漫画家・しりあがり寿氏はこう語る。「そうですね。僕もこんなにあるなんてわかりませんでした。本当にこの震災をきっかけに、漫画の世界が開かれたなっていう感じがします。
漫画というとエンターテイメントの世界で、架空の物語を今まで描くことが多かったと思います。でも、今度の事故をきっかけに、社会に出てきて実際にそこにある問題と取り組んでいる。そんな感じがします」
国谷「実際に、しりあがりさんも原発事故についても描かれていますけど、どういう思いで、何を伝えようとされたんですか」
しりあがり「あのころは、原発に触れると安全か、あるいは危険かの2つに分けられていたんです。そうじゃないだろうと。それが怖くて何も描かないのはまずいということで、できるだけそのどちらでもない中間に落とすような視点で、笑いを持って何かを訴えられたらなと思って描きました」
最後に国谷は美味しんぼ騒動について問うと、「やはり漫画が現実と取り組むということになると、どうしても現実というのは複雑ですし、いろんな摩擦が起きると思いますね。?ただ、今回の騒動を見ていると、問題点は2つに分けられると思います。1つは放射能が本当に鼻血を起こすのかという問題で、専門家どうしで闘ってもらえばいいと思います。それと別に、鼻血を表現したことが実際に風評被害なり、福島の人の心を傷つけたのかという問題があると思います。本当にその風評被害っていうのは漫画のせいなのか、ほかにいろんな要因があるのではないか、それはちゃんと総合的に落ち着いて考えたほうがいいと思いますね」
「美味しんぼ」が取り上げたのは、政府や自治体が発表する情報は信用できないという不信感だ。
ナオジン
*NHKクローズアップ現代(2014年6月2日放送「いま福島を描くこと~漫画家たちの模索~」)