女性急増!アルコール依存症1000万人時代…あなたもそうかもしれない!?6項目チェック

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   飲酒への欲望が強くコントロールできないアルコール依存症の患者数が10年前に比べ30万人近く増え、109万人に達しているという。いずれ依存症になりかねない多量飲酒者を含めると979万人にもなる。ストレス社会の中、自分は大丈夫と思って飲み続け、気づいたら「無意識に自動販売機の前に立ってお金を入れていた」という事態に陥っている人が増えているのだ。

   肝臓やすい臓、胃に悪影響を与えているのにやめられない人、厳しいしっぺ返しが待っているのに飲酒運転をやめられず事故を起こす人が絶えない。こうしたアルコール依存症の人は、飲酒を抑制する機能がある脳の前頭葉が委縮し、自らの努力で止めるのは不可能なことが分かってきた。

前頭葉が萎縮し「自分の努力だけではやめられない病気」

   厚労省の研究班によると、最近はとくに女性にアルコール依存症が増えている。女性の社会進出が進み、アルコール飲料に接する機会が多くなったからだろう。依存症と診断され専門病院に通う37歳の女性は、大学病院の救急外来で看護師として働いていた25歳のころから酒を飲むようになった。夜勤の前に仮眠をとるためにビールを飲むのが習慣になり、やがて責任ある立場に就き重症患者と向き合うストレスから、同僚に隠れたビールを飲み始めた。高じて白衣に着替え仕事に就く前にまず1本飲み、アルコールが置いてないと落ち着かない状態になった。さらに、子どもを産んでからは仕事と家庭を両立させようと気が張り詰め、飲むビールは1日1ダースを超えるようになった。異変に気付いた家族や職場の上司から病院に行くよう勧められたが、受け入れなかったという。

「アルコール依存症と自分で認めたくなくて、仕事をしているのに何なのって思ってしまった」

   家族に反抗し、病院でアルコール依存症と診断されたのはそれから3年後だった。酒を断つために入院治療を余儀なくされ、仕事も辞めざるを得なくなった。今は「失ってしまった無駄な時間、無駄なお金、子どもがすごく可愛かった時期に酒を飲んで過ごしていた。全部泡となって消えてしまった」と悔やむ。

   多量飲酒者が自分は大丈夫と思っているうちに依存症に陥ってしまうことが少なくない。日本酒3合、あるいはビール中瓶3本以上を毎日飲むと多重飲酒と判断されるが、ではアルコール依存症にはどのような目安があるのか。30年以上にわたって研究を続けてきた国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長は6項目の診断基準を解説した。

(1)どんな状況でも飲みたいという強い欲望
(2)飲酒のコントロールが困難で常にアルコールづけにある状態
(3)脳にある抑制機能が取れて離脱状態にある
(4)酒への耐性が上昇し、多く飲まないと酔えない
(5)飲酒中心の生活
(6)有害と分かっていても止められない

   このうちの3項目が過去1年間に同時、あるいは繰り返し起きていたら依存症になっているという。とくに(2)(3)は重要だ。脳の前頭葉には酒を飲みたいという欲望を抑制する機能があるが、依存症になると前頭葉の一部が破壊されて欲望を抑制できなくなる。レントゲン写真で酒を飲まない人の前頭葉と比べると歴然で、後依存症の人の前頭葉は委縮し隙間が見える。

   樋口院長は「お酒をコントロールしようとしてもムダなんです。どんな意志の強い人でもダメで、だからこそ病気だといっているわけです。いちど依存症になってしまうと、努力してもコントロールは不可能に近いですね」と断言する。

フランスはテレビ、映画でアルコール広告は全面禁止

   では、行き過ぎた飲酒から依存症になるのを防ぐにはどうしたらいいのか。一つは依存症患者の早期発見だが、飲酒をあおる広告が氾濫しているのも問題だという。政府は今後2年以内にアルコール飲料業界を巻き込み具体的な対策をつくることにしている。

   キャスターの国谷裕子「業界がどのように取り組むか注目されますね」

   樋口院長「フランスはテレビ、映画で広告の全面禁止、イギリスでは酒を飲むことが『勇気』『自信』に繋がるような表現の自主規制を行っています。また、われわれも治療の質の向上や治療すれば治る病気であることを知ってもらい、医療機関に早期に行くよう啓蒙したいと思っています」

   喫煙には厳しい目が向けられているのに比べ、飲酒には寛容な日本の社会だ。テレビではいまだにビールの一気飲みを礼賛するシーンが放映され、新入社員はまず酒の洗礼から始まり、豪快な飲みっぷりが評価される。まずはそこら辺から改めるべきだろう。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2014年6月18日放送「あなたの飲酒 大丈夫?」)

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