水際対策では防げないエボラ日本侵入!感染疑われた男性「防疫官から何も注意なかった」
福岡ではパニック発生!リベリアから帰国の発熱男性と飛行機乗り合わせ
10月下旬には、リベリアから帰国し発熱を訴えた40代の男性と同じ飛行機に乗り合わせた修学旅行帰りの中学生が、ツイッターで二次感染の不安を訴え、パニックが起きた。ネット上では福岡県内の中学校の名前が明かされ、「一気に九州まで飛び火」「国や福岡県は把握できているのか」「生徒が感染しているのではないか」などウワサが飛び交った。
中学校の教頭の元に保護者から「子どもを通常通り登校させてよいか」という問い合わせが多数寄せられた。教頭は男性が座っていた座席の位置を航空会社に問い合わせたが、「プライバシーの問題があるから」と情報提供を拒否された。教頭はツテを頼って生徒たちは男性とは離れた座席にいたことを知ったという。教頭は「国から積極的な形で情報提供や助言、指導をもう少し早い段階でいただいていれば、ここまで混乱しなかったと感じています」と訴えている。
真下貴キャスター「日本の水際対策の課題はどこにあるのでしょうか」
感染症対策に詳しい東北大大学院の賀来満夫教授はこう話す。「まずエボラ出血熱のことをより詳しく説明していくことがとても大切です。当事者は熱が出ただけだと思ったといっていますが、エボラはまず熱が出る。そのあと嘔吐、下痢の症状に繋がっていくという細やかな説明を(検疫官から)ぜひしていただきたかったですね」
真下「同じ飛行機に乗り合わせた方への対策はありますか」
賀来教授「席が離れていたとしても不安は強いと思います。これだけ致死率の高い感染症を日本では経験したことがないのですから。感染症は個人の疾患ですが、社会性のある疾患でもあります。ということは、プライバシーを超えると考えて頂いていいと思いますね。もっと細やかな、直接的な情報提供が必要になってくるのではないでしょうか」
政府の感染症対策に関わる人たちは、理屈では水際による初期対応の必要性を十分わかっているだろう。ただ、実際に現場で関わっている関係者の受け止め方はバラバラで、感染拡大を防ぐキメの細かい備えとなると十分とは言えない。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2014年12月3日放送「終わらないエボラ~備えは大丈夫か~」)