急増する「無届け介護ハウス」身寄りなく所得低く行き場のない高齢者

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   全国で「無届け介護ハウス」が急増している。去年10月(2014年)の時点で全国に911施設、前年の2・3倍だ。国は「在宅介護」を推進しているが、身寄りがなく所得が低い行き場のない高齢者が増えていることが背景にある。

   本来は、特養と呼ばれる特別養護老人ホームがそうした人たちの受け皿となるはずだが、数がまったく足りず、入所待ちは全国で52万人にも上る。有料老人ホームは平均的なケースで、月におよそ25万円の費用がかかる。

   そこで、一軒家やマンションを改造した「老人ホーム」の基準を満たさない無届けの施設が高齢者を受け入れ、自治体などもそれに頼っているのが現状だ。無届け施設は、東京都の調べで都内に25か所あるが、NHKの調べでは86か所もあり、取材に応じた8割以上が自治体や病院からの依頼で高齢者を受けているという。

安全基準満たしていないが入居費・食費安い

   東京・江戸川区の木造2階建の一軒家では、7人の高齢者が介護を受けながら暮らしている。月の料金は食費も入れて15万円。平均的な老人ホームより10万円安い。廊下の幅や部屋の広さ、消火設備などが国の定める老人ホームの基準を満たしていないため「無届け」だ。基準を満たすための工事などを行うには「採算的な問題がある」(経営者)が、自治体や病院からの依頼で高齢者を受け入れ、常に空きがない状態だという。

   7年前から暮らしているという86歳の女性は、体調を崩して自宅で一人で暮らせなくなった。家族はいない。収入が少ないため入れる施設はここだけだと、区役所から紹介されて来たという。

「行くところがないから、ここが一番いい」(入居者)
「やっちゃいけないと言われればやめます。でも、入ってる人たちはどうするんですか」(経営者)

特養間に合わず、自治体・病院も頼みの綱

   こうした無届け施設は、行政の目が及ばないことから安全や衛生面が懸念されている。高齢者160人が暮らす東京都内マンションで3年前の冬、インフルエンザやノロウイルスが蔓延して28人が次々と死亡した。老人ホームで集団感染が発生した場合は保健所に報告する義務があり、保健所から衛生上の指導を受ける。無届け施設は野放し状態だという。元職員は「閉鎖された空間。何事もなかったように済まされてしまう」と話す。

   自治体側にとって無届け施設は頭の痛い問題だ。東京・世田谷区は地価の高さなどから高齢者施設の建設が進まず、2300人の入所待機者がいて、無届けの施設に頼らざるをえないという。

   保坂展人・世田谷区長はこう話す。「待機者が大変多く、高齢者施設が少ないということで、無届けの場所があるというのが現実です。そこをどう解決していったらいいのかは大変悩ましい」

NHKクローズアップ現代(2015年1月20日放送「『無届け介護ハウス』急増の背景に何が」)

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