2024年 4月 30日 (火)

「ふるさと納税」特典競争が過熱!自治体収支マイナスの本末転倒

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特典よりも『ふるさと』と長いお付き合い

   特典に頼らず実績をあげる自治体もある。人口3万4000人の埼玉・宮代町は首都圏のベッドタウンだが、町内の「ヤマ」と呼ぶ雑木林で親子が遊んでいる。荒れ果てて人が入れなかった山林を2年前に市民の憩いの場に整備した。資金は「ふるさと納税」だ。500万円が必要だった。ホームページで「子どもも大人も一緒に楽しめる場所を一緒に作ろう」と呼びかけ、運用や利用方法、将来ビジョンを示した。

   応じた伊藤晴子さん(東京・港区)は宮代町とは縁もゆかりもない。幼い頃を過ごした田舎では当たり前だった自然がほしいと思った。同じ思いの人はいた。2か月で775人が賛同し900万円が集まった。

   北海道・東川町(人口8000人)は平成の大合併に乗らず、単独での存続を選んだ。地方交付税交付金は減り人口も増えない。そこで立てた計画がブドウ栽培とワインづくり、オリンピック選手の育成、森づくりの3つだ。どれも時間がかかる。

   森づくりに寄付した鹿児島・指宿の橋口俊一・千末さん夫妻に、町から「森を見に来ませんか」と誘いがきた。1人2万円の航空運賃の補助と宿泊施設を格安 で、とあった。夫妻は以来、毎年訪問している。「行くたびに木が育ってるんです。一生寄付すると思う」と千末さんは満足そうだ。同様の寄付者がいま3000人いる。

   宇野教授は「現代的な現象ですね。大都市にはふるさとのない人も多い。そこを もう1回選び直して夢を託す。政策に参加することで民主主義を再確認するきっかけになります」という。これが制度の趣旨だ。

   たとえ初めは特典目当てだろうと、「どんなものが?」という好奇心は貴重だ。その中から地方の夢を探り出す人が現に出ている。宇野教授は「政治は地方から変わる」といっていた。いい言葉だと思う。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2013年1月26日放送「ふるさと納税 ブームが問うものは」)

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