2024年 5月 3日 (金)

立派な会社と思ったら・・・エッ、詐欺カンパニー!?騙されたと気付かせない巧妙さ

   兵庫県内に山林を持つ80代の男性は昨年春、不動産仲介の営業マンの訪問を受けた。「山林を売らせてください」という。処分したかった土地だ。「中国人の富裕層が日本の山林を買っている」という話に乗って、調査費など38万円を払った。

   仲介会社は500万円(坪8万円)の値段をつけた。立派なパンフは「500萬日元」と中国語表示で、「売物件」という看板を立てた現地の写真入りだった。実在する中国人向けの仲介サイトにも掲載されていた。

   どんな会社かと見にいった。大阪のビジネス街の一等地のビルの一室。「未来土地コーポレーション」と立派な看板がかかり、全日本不動産協会加盟をうたっている。受付には制服の女性が3人いて、熱いお茶をいれてくれて担当の営業マンが現れた。これは大丈夫と安心したという。

ハローワークに高給で求人・・・社員たちも『本業』知らなかった

   兵庫県のこの被害者はニュースで「社長を逮捕」と出るまで騙されたことに気づかなかった。直接の容疑は12人から420万円余をだまし取った疑いだ。土地所有者から受け 取った1件30数万円の手数料だけで、会社は他には何もしていなかった。警察は同様の手口で5000人から13億円を得たと見ている。

   客だけではなく社員もだまされていた。一般求人広告で募集し、宅地建物取引業免許を持つものもいる。月給は歩合制で月60万円。営業マンは手数料契約 をとるだけ。土地売買は幹部がやるといわれていた。元幹部がいう。

「社員を信じさせることが重要。立派な事務所の家賃は月70万円。協会の入会金は百数十万円。信じ込ませるための先行投資です。やってることは詐欺だからすぐ取り返せる」

   前述の兵庫県の山林を不動産業者は「1000円でも売れるかどうか。80倍ではだれも買いません」という。売り主には「まだ売れません」といい続けるわけだ。

   警察庁が29日(2015年1月)に発表した昨年度の特殊詐欺の被害額は、初めて500億円を突破した。いわゆる「オレオレ詐欺」に混じって、一般会社を装った「詐欺カンパニー」が増えている。28日に摘発された東京の会社はカンボジアの不動産投資を勧誘して25億円をだまし取っていた。

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