2024年 5月 4日 (土)

<博士と彼女のセオリー>
ホーキング博士と妻「求めすぎない愛」難病の進行でも衰えぬ探究心・・・二人は乗り越えることができたのか

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   難病に襲われた若き天才と献身的にそれを支える妻が、惹かれあい、愛し合い、ときに反発して決別すら覚悟し、けれどともに苦難を乗り越える。そんなヒューマンドラマを想像していたのだけれど、良い意味で裏切られました。ある男女の、「貴方を愛しています」から「貴方を愛しました」までの情と思いやりの映画だった。

エディ・レッドメイン全身で演じた「変わり者で素直で無邪気で愛おしい」

   物語のモデルは物理学者のスティーヴン・ホーキング博士とその妻・ジェーンで、若かりし日の二人のケンブリッジ大学での出会いから映画はスタートする。くしゃくしゃ頭に薄汚れた黒縁眼鏡で、まさに「理系男子」なエディ・レッドメインがすこぶるチャーミングで、一気にホーキング博士が好きになる。

(c)UNIVERSAL PICTURES
(c)UNIVERSAL PICTURES

   妻・ジェーンを演じるフェリシティ・ジョーンズはいかにも強く美しい高学歴女子なのだけれど、クラシカルなドレスが似合いすぎで、いきなりビジュアル面から期待が持てる。

   今年度のアカデミー賞主演男優賞を受賞したレッドメインが、ALSに侵されていく絶望とそれでも失われない研究への情熱を全身で演じている。強く気高いだけではない。苛立ったり、悲しかったりもする。自分を揶揄する毒の効いたユーモアをまじえることもある。変わり者で、素直で、無邪気で、愛おしい。病気になる前も後も変わらずに「自分でいる」ことの難しさ。それを可能にした博士の内面の強さが瞳から伝わってくる。

   一方で、不自然にしゃっちょこばった腕や痩せ細った足、首などの角度、身体的機能の衰退も、鬼気迫るリアリティーで再現するのだからすごい。ままならない身体と向き合うべき命題への気迫が、物語の中盤を厚く支える。

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