拡散するイスラム過激派テロ―持たざる者の不満・怒り背景に「国境超えて連携」
テロの拡散が止まらない。各地で異なる組織によるテロが続く。いずれもイスラム国(IS)と呼応・連携するかのように装っており、16か国、32グループにもなるという。先月(2015年3月)、ナイジェリアのボコ・ハラムが新たにISへの忠誠を表明した。
ボコ・ハラムは昨年4月、女子生徒200人を誘拐した。「欧米の教育をやめさせるためだ。生徒たちは売り飛ばす」と宣言し、世界中で抗議のデモが起り、アメリカのオバマ大統領夫人が声明を出したりしたが、1年経った今も生徒たちの行方はわからない。
新興勢力が「イスラム国」への忠誠を宣言
ボコ・ハラムはナイジェリア北部の貧しいイスラム教徒から出た。石油が出て豊かな南部のキリスト教徒に対抗して、イスラム法による支配をとなえて2002年頃に結成された。小さな反政府集団に過ぎなかったが、誘拐事件を機に過激なテ ロ組織へと変貌した。イスラム国家の樹立を宣言し、国境を越えてチャド、ニジェールにも勢力を広げ、いまや戦闘員数千人といわれる。
ニジェールの難民キャンプには100万人もが難を逃れていが、子どもたちが描くボコ・ハラムの襲撃の様子は残虐だ、銃弾が人を撃つ、首を切られた人、炎に包まれた家ばかりだ。12歳の少年は家から人が引き立てられ、1人ずつナイフで刺される光景を見た。13歳の少女は戦闘員と結婚を迫られたが、スキを見て逃げた。他の少女たちの運命はわからない。
今年1月には新たなテロが起きた。人混みの市場で10歳くらいの少女が自爆して19人が死んだ。ISでもやらない手口だった。その後の「ISへの忠誠」宣言は、ISの名による権威付けとみられている。