2024年 5月 8日 (水)

新潟水俣病から50年!いまだ認定待ち113人~未解明部分多い症状

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初めて気付く「私は水俣病患者だったんだ」

   113人は高齢者ばかりではない。45歳の女性は子どものころから痛みや熱さの感覚が鈍かった。ビールビンの破片が足に刺さっても、「何かあるな」という程度で、血が流れ出して初めて驚くということもあったという。母親も症状がある。母親の主治医は、彼女の場合はむしろ母体を通して汚染された「胎児性」の可能性をいう。

   胎児性水俣病の研究をしている岡山大の頼藤貴志・准教授が行った「認知機能」の調査がある。数字の暗記、計算、記号の認識など簡単なテストだが、胎児期に汚染された可能性のある人たちは、通常より認知機能が2割ほど低いことがわかった。頼藤准教授は「水銀で脳が傷ついた可能性がある。当人は生まれつきそうなのかと 思っているし、外見ではわからない」と話す。これは衝撃だ。

   熊本・水俣市の緒方博文さんはいつもノートをもっている。「記憶が苦手で、すぐ忘れちゃうので何でもノートに書きとめるんです」という。82歳の母親は症状がある。自らも手足のしびれ、頭痛などで10年前に認定を申請した。頼藤氏の調査結果を前に、「自分の認知機能を水俣病と結びつけたことはなかった」「新たな視点がみつかったら、とことん検証、調査すべきです。本気で救済するのなら」と訴える。

   東京経済大の尾崎寛直・准教授は「水俣病の歴史は水俣病とは何かをめぐる戦いで、カギは国が握ってきた。認定制度は重度の人を対象にできていて、微量汚染では解明されてないことがたくさんある」という。

   半世紀も経って! と思わずいいたくなる。新たな発見は他にもあるのだ。かつて水俣病患者が「怨」というゼッケンをつけ、企業に向かって「補償は要らない。水俣の排水を飲んでくれ」と叫んでいたのを思いだした。あれから何が変わっただろうか。

ヤンヤン

*NHKクローズアップ現代(2015年6月4日放送「『病の姿』が見えない~新潟水俣病の50年~」)
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