2024年 5月 3日 (金)

<天皇の料理番>(TBS系)
あと2回とは惜しい!これぞTBSドラマという見応え・・・感動押し付けない抑えた演出の見事

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静かに泣く家族、感傷的な音楽なし・・・おおげさに描かないシーンにリアリティ

   TBS60周年記念ということで、配役、演出ともに力が入っている。毎回出てくる料理や、当時の丸の内やパリの街並みも見ごたえがある。なのに、その手のドラマが陥りがちな、重厚長大で感動のゴリ押し一辺倒の演出になってないところがいい。

   たとえば、パリへの渡航費用を周太郎からもらう場面。周太郎は弟と一緒に父・周蔵(杉本哲太)に頭を下げてお金を作ったのだが、これをあえてドラマで再現せずに、母・ふき(美保純)の淡々とした台詞だけで伝える。篤蔵の背中に向かって「あんたは幸せな子やねぇ。幸せな分だけ余計励まんといかんね」

   もう一つ、その周太郎が亡くなる場面。「スッポンのコンソメ、ザリガニのポタージュ・・・」と篤蔵が指揮した大正天皇御即位の礼の大饗メニューを読み上げる母、周太郎はそれを聞いて「うまそうだなあ」と安心したように息を引き取る。わっと号泣もしない。感傷的な音楽も流さない。静かに泣く家族だけがそこにいる。泣けるような場面だからこその抑えた演出。それがとてもリアルで胸にしみるのだ。

   パリから帰国後の話の流れが、さすがに駆け足気味になってしまった点が惜しい。本当は全体を半年ぐらいかけてやるドラマだろう。関東大震災の炊き出しを経験し、戦中戦後の食糧難の時期を篤蔵がどう乗り越えるのか、あと2回の放送を大事に見たい。(日曜よる9時)

                                

(カモノ・ハシ)

文   カモノ・ハシ
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