介護施設虐待4年で3倍!現場軽視の運営、閉鎖体質、未熟なスタッフ・・・見える化をすすめろ!

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   厚生労働省によると、介護スタッフによる虐待件数はここ数年うなぎのぼりで、平成21年は76件だったが、平成25年は221件と4年で3倍に急増した。最も大きい原因は教育、知識、介護技術の問題(66%)、次いでスタッフのストレス(26%)、組織風土や人間関係(13%)も多かった。

   NPO「全国抑制廃止研究家」が行った全国調査によると、虐待があったとする介護施設は1510か所もあった。研究会の本田勇氏は「介護の現場で過酷な労働になっていることが虐待の危険性を高めています」と指摘する。果たして過酷さだけなのか。異論がありそうだ。

東京都は評価調査員が1300項目の立ち入りチェック

   国谷裕子キャスター「そもそも虐待が起こりやすい施設は過重労働、人手不足が最大の原因ですか」

   患者の抑制や拘束に取り組むケアホーム「西大井こうほうえん」の施設長の田中とも江さんはこう答えた。「否定はしませんが、そういう状態にしてしまう施設の運営そのものに問題があるとおもいます。入所者に対して目が届かないところにトラブルの原因があります。きちんとした教育が介護スタッフの世界に少ないんです」

   国は「福祉サービス第三者評価」と呼ばれ制度を導入している。NPO法人など評価機関の調査員が特別養護老人ホームを調査するものだ。評価調査員がこの日に訪れたのは東京都内の特別養護老人ホームだった。介護現場の経験が豊富なケアマネージャーや介護のプロが、介護スタッフが十分配置されているか、食事、排せつのケア、認知症のケアなどが適切に行われているかなど、1300の調査項目をもとにチェックして評価を下す。入所者への聴き取りも行い、生活上の不満や虐待の有無を確認する。

   調査結果は行政に報告され、ウエブ上でも公開される。新たな入所希望者やその家族が施設を選ぶ際の判断材料として活用してもらうためだ。現在、とうきょう都内の施設の9割以上がこの調査を受けているが、全国レベルではまだ6%でしかない。

介護の実態映像分析で技術アドバイス

   静岡大学の研究チームが取り組んでいるのは介護の見える化だ。ケアの現場の映像をもとに技術向上のためのノウハウを蓄積していく。研究対象となっている茨城・稲敷市の特別養護老人ホームは、入所者の平均年齢87.4歳、平均要介護度4.1以上の重度の高齢者が多い。

   ケアレベルの向上のためのモデルに選ばれたのは、働き始めて1年目のスタッフだった。意思疎通が難しい認知症患者が多く、コミュニケーションが思うように取れない。「水を飲んだからトイレに行きましょう」とすすめても、「あそこは汚いから嫌い」と相手にされない。「声かけの仕方一つとっても全然反応が違ったり、怒らせてしまうことが多い」と悩んでいる。

   ところが、ベテラン女性スタッフが同じことをすると、認知症の高齢者は安心して受け入れた。研究チームはそれぞれの映像をもとにケアに必要な項目を分析し、ケアに重要なのは「見る」「話す」「触れる」の3つ技量だと結論付けた。「見る」は相手の目を見てしっかりアイコンタクトを取る。「話す」は作業を進めときには関係性を深めるためのコミュニケーションの声掛けを行う。「触る」は手のひらで肩を支えるなど安心させる動作だ。

   こうした映像を教材にケアの向上に取り組んだ福島の「郡山市医療介護病院」は、認知症患者の暴力や暴言が3か月後に激減したという。宗像初枝看護部長は「取り組みには時間がかかるという反対意見もあったのですが、いざやってみると患者が反応してくれて非常にケアがスムーズにいき、仕事が楽しくなりました」と話す。スタッフの心構えや動作を訓練しただけで、介護施設内に笑いが響くようになった。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2016年2月3日放送「介護の中身をオープンに~ハイテク・理論が現場を変える~」)

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