2024年 5月 4日 (土)

<いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう>(フジテレビ系)
健気で哀しい高良健吾・有村架純「一億総貧困」に突き落とされる若者群像

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   「なんだなんだ、このタイトルは」とまず思った。だってそうでしょう。恋をしている最中に、遠い将来この恋を思い出して泣くだろうなんて悠長なこと考える? 恋って結果がどうなろうと先のことなど考えず、その瞬間その瞬間が必死なのに。どうもタイトルに引っかかってしまう傾向があるなあ、われながら。

   でも、泣いた。タイトルと違って(?)、恋だけでなく、生きていくことそのものに必死にならざるを得ない若者たちの姿に胸を打たれたのだ。

脇役たちも銀河のように輝く異色「月9」

   月9といえば、おおむね、安定した視聴率が見込める看板役者を男女1人ずつ立てて・・・みたいな作り方が基本だが、これは何人かの若手俳優による若者群像劇である。真面目な若者たちが厳しい現実に立ち向かう姿は、フジテレビ開局55周年記念ドラマとして2014年に放送された「若者たち2014」(2014年7~9月)に近い。

   もちろん、中心となる曽田練を演じる高良健吾の演技力には定評があり、純粋さとそれゆえの狂気を感じさせる彼の透明感は大好きだ。杉原音役の有村架純もぐんぐん成長しつつある若手女優である。高畑充希、西島隆弘、森川葵、坂口健太郎、高橋一生なども、主役の2人を取り巻くという感じではなく、それぞれがみんな光って、全体として銀河のように輝くドラマになっている。

   「恋」といっても、描かれているのはシングルマザーだった母に幼くして死に別れ、遠縁に引き取られて金づるにされるところを逃げ出したヒロイン(有村架純)だったりする。ちょっと「江戸時代か!」という気がしないでもないが、「一億総活躍」ならぬ「一億総貧困」の足音が空耳ではないかもしれない昨今、「そういうこともあるかもしれない」と思えるのが怖い。

文   カモノ・ハシ
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