2024年 5月 6日 (月)

「参院選」改憲4党で3分の2って・・・オイオイ本当かよ!?漫画誌や女性誌も危機感いっぱいに憲法条文掲載

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   「改憲4党 2/3に迫る」(朝日新聞7月7日付)。オイオイ嘘だろ! 少し前の調査で、安倍首相の経済政策を見直すべきだが55%、改憲4党の議席が参議院で3分の2以上占めないほうがいいが41%(占めたほうがいいは36%)だったじゃないか。

   オレのまわりは学生運動崩れのジジイばかりだから、自民党に入れようなんてヤツは一人もいない、圧倒的に共産党だ。こんなのは例外中の例外だろうが、それにしても安倍自民党にどうして入れるのかさっぱりわからない。

   もう一度じっくり考えてみなよ。どれだけ安倍政権が嘘ばかりついてきたのかを。東京五輪招致のプレゼンで「福島原発の汚染水はアンダーコントロール」だといい放った。あれほどの原発事故を起こしておきながら、再稼働するだけではなく、インドやトルコに首相自ら出かけて「日本の原発は安心・安全」だといって売り込んだ。憲法違反を承知で集団的自衛権を容認して戦争のできる国にしてしまった。国民の虎の子の年金積立金を危なっかしい株に注ぎ込んで何兆円もの損を出した。アベノミクスが夜店の啖呵売のようなものだったのはいうまでもない。

   参院選の間、憲法改正の「ケの字」もいわない安倍首相だが、参院選で勝てば改憲を本気でやってくる。イギリスのEU離脱派が、離脱が決まった直後に「離脱派のウソを信じて票を投じた自分に嫌気がさした」と愚痴ったが、そうなってからでは遅い。「流砂のなかで」(河出書房新社)の作家・辺見庸の怒りを共有してほしい。

<安倍政権打倒を願う若い人々は、この政権が非民主主義的というより民主主義を逆用した「骨の髄まで腐った」政権であり、アーレントの言葉で言うなら、ドブのような思考をする権力である点にもっと注目してほしい>

   朝日新聞は「改憲 自民党じわりと言及」を4面に持っていくのではなく、一面で「改憲4党 2/3に迫る 改憲へ」とやるぐらいの姿勢を見せてほしかった。漫画誌や女性誌が憲法の条文を載せたりして明確に護憲を打ち出している。朝日新聞は投票日の朝刊1面に「憲法前文」を掲載してみたらどうか。

   同紙は「投票先を決めるとき一番重視する政策は『社会保障』が最も多く、29%だった」と報じているが、今の自公政権が社会保障などに重きを置いていないのは、麻生副総理の「年寄りは長生きするな」発言でもわかろうというものだ。

他人事ではない「介護殺人」仲のいい夫婦ほど追い詰められ「見捨てられない」と殺害

   みなさんは7月3日(2016年)に放映されたNHKスペシャル「私は家族を殺した『介護殺人』当事者たちの告白」を見ただろうか。重いテーマだったが、Nスペならではの力の入った番組であった。当事者たちの追い詰められた心境や介護の難しさは身につまされたが、自分の身に起こったとき、どうすれば「介護殺人」に至らないようにできるのかがわからない。

   週刊ポストはこうしたテーマを時折取り上げている。今週もNスペを放送したという前提で、「今すべきこと、考えておくべきこと」を特集している。だが、ここでも、こうした悲劇をなくすための十分な方策を提示できてはいない。それだけ難しいということだが。

<ここ数年の間に「介護殺人」は頻発している。5月10日には、東京・町田市で87歳の妻が92歳の夫を絞殺した後、首を吊って自殺した。夫は数年前から認知症の症状が現われ始め、体力が落ちて車椅子なしでは動けない状態だった。(中略)
   夫がようやく介護施設への入所に同意し、手続きがほぼ済んだ矢先に起きた事件だ。妻の遺書には夫に宛てたこんな言葉があった。「一緒にあの世へ行きましょう。じいじ。苦しかったよね。大変だったよね。かんにん。ばあばも一緒になるからね」>(週刊ポスト)

   15年1月17日、千葉・野田市で77歳の妻が72歳の夫を刺殺した事件では、介護施設への入所費用の捻出が引き金になったという。<「夫婦は息子家族と同居していたが、夫を介護施設に入れるための費用がなく、自宅を売却しなければならないと考えていた。そのことで息子夫婦との仲が悪化したことも、妻を追い詰めたようだ」(大手紙記者)>

   日本福祉大学の湯原悦子准教授は、介護殺人の原因は介護疲れと将来への悲観の2つに大別されるという。<埼玉・小川町や栃木・那須町の事件などは、典型的な介護疲れによるものだ。「配偶者の気持ちを汲んで施設に入所させず、自らが介護を一身に背負うことになった。

   老老介護なので、自分自身の体調もおもわしくなくなる。仲のよい夫婦であればあるほど、相手を不憫に思い、行き詰まって殺害に至るというパターンは多い>

   老後破産とは高齢者が貧困のために破産状態に追い込まれることで、今全国で約200万人以上がこの状態にあるといわれているそうである。湯原氏がこう続ける。<高齢者の場合、たとえお金を持っていても、それが減ることに対して強い恐怖心を抱いてしまう。「この先、生活が困窮するかもしれない」という不安から、介護サービスの利用を控えるケースもあるのです>

   そうした高齢者たちをさらに追い込むのは「働かない子供」の存在だ。職を失った息子や娘が実家に寄生し、親の年金を頼りに生活する。親の老後資金を食いつぶして共倒れになってしまう「親子老後破産」が起きるのも近年の特徴のようだ。

   東京・大田区の事件では、無職だった同居中の息子の出費も、殺害の動機の1つになった。<親がまだ現役の間は子供が働かなくても何とかなりますが、親がリタイヤした後は貯金や年金を食いつぶすばかりで、親子で貧困に陥りやすい。

   しかもそのような子供には介護能力もないから、親が弱っていってもどうすることもできない>

   老後破産は将来の悲観に直結し、最悪の場合、介護殺人にまで至ってしまう深刻なものなのだ。ではどうすればいいのか。<老後破産に陥ってしまったら、ためらうことなく生活保護を受けることです。生活保護を受給できれば介護保険料もタダになり、自己負担はゼロですから>(同)

   年金生活の親と非正規雇用の子供が同居している場合、世帯分離という方法で生活保護を分けてもらうこともできるそうだから、まずは相談窓口に連絡することだという。

   しかし、配偶者が認知症になり、それでも介護認定2程度にしか認定されないと、配偶者が認知症患者の面倒をすべて見なくてはいけない。そこに悲劇が生まれるのである。湯原氏がいうように社会のサポート体制が必要だと、私も考える。<心中事件の場合、介護者がうつであることが多い。周囲が早めに気づいてサポートするだけで介護殺人はかなり減少すると思います>(同)

   週刊ポストは<将来、自分が介護殺人を招かないためにも、今から老後破産を回避するべく、老後に備えることが必須である>と結ぶ。できた当初は歓迎された介護制度もどんどん改悪され、使う側にとってありがたさがなくなってきた。

   特別養護老人ホームへ入れようと思っても、待っている人が多すぎて入るのは至難である。先ほどの相談窓口へ行っても、デイサービスなどを利用しなさい、近所の人たちに相談して助けてもらいなさい程度しかアドバイスすることはできないのではないか。こうした悲劇はこれからも繰り返す。親も子どもも元気で働けるうちはいいが、どちらかが病気や認知症にでもなったら、たちまち小さな幸せさえ崩壊してしまう。それがこの国の実態である。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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