「パラリンピック」戦傷兵士のリハビリ?米軍担当者「回復した姿見せれば負傷兵奮い立つ」そして再び戦場へ
負傷兵の補償額削減にパラリンピックは好都合
番組によると、イラクやアフガンに派遣された米兵は270万人。そのうち97万人、実に3人に1人以上が心身の障害を訴えていて、そうした兵士たちへの補償額は1兆4700億円にもなる。補償額は年々膨らむと予想され、米国やイギリスでは負傷兵の社会復帰を促すため、パラリンピックをはじめとするスポーツに活路を見出そうとしている。
国民に向けて作られたPRビデオには、そのリハビリ・プログラムも紹介されている。米軍のプログラム担当者は悪びれもせずにこういう。「パラリンピック・プログラムはやる気を引き出す仕組みです。回復した兵士の姿を見せ、他の負傷兵を奮い立たせるのです」
鎌倉キャスター「スポーツ、パラリンピックが、再び戦場に戻るサイクルに位置づけられているんですね」
早稲田大学スポーツ学科の友添秀則学術院長は「極めて残念ですね」と語る。「オリンピックやパラリンピックというのは、国際親善や世界平和を最高の理念にしています。しかし、現状はスポーツを利用して、もう1度戦場に戻らせる。皮肉な言い方をすると、人間の業みたいなものを感じます」
鎌倉キャスター「今後、パラリンピックというものの性質が変わるかもしれない段階で、われわれは東京大会を開くにあたって、どんなメッセージを発信していくべきでしょうか」
為末大氏(元陸上選手)はこう話す。「昔、ヒトラーがオリンピックを利用したという例もあります。スポーツ自体に善悪があるわけではなく、運用する私たちがどんなメッセージを込めるかということが大切だと思っています」
平和の祭典というのは幻想なのかもしれない。
ビレッジマン
*NHKクローズアップ現代+(2016年9月12日放送「『戦場の悪夢』と金メダル~兵士とパラリンピック~」)