2024年 4月 27日 (土)

パートの「社会保険」プラスかマイナスか・・・10月から条件引き下げ「週20時間以上」

新たな「106万円の壁」どうクリア?

   東京大社会科学研究所所長の大沢真理さんは「この例はホワイト。もっとブラックで、社会保険料を払いたくないと勝手に労働時間を減らすような企業も多いんです。仕事が細切れになる恐れがあります」と説明する。

   モデルケースによる比較で状況はさらにはっきりした。大沢所長は「負担は増えても、一部は将来の年金で返ってくるもの。そこが違う」という。試算だと、45歳から65歳まで保険料を納めれば、年金に跳ね返り、81歳で元が取れる。「利率のいい預金をしていると考えたらいい」

   ただ、主婦の働きたいという気持ちを阻んでいる壁はまだある。会社員の妻で、パートで働くC子さんにとって、1つが社会保険の壁である「106万円」。保険料を払うようになると収入が減る。もう1つが配偶者控除で「103万円の壁」と言われる。103万円を超えない限り、夫の配偶者控除で税金が安くなる。

   これを実際にシミュレーションしてみると、年収100万円のC子さんの収入が」が120万円になると、配偶者控除がなくなり、夫の会社には家族手当もあるが、これもなくなり、トータルでは年に22万5000円減ってしまうのだ。さらに、賃金の男女比というのがあった。内閣府の男女共同参画局が作ったものだというが、ひどいものだ。男性を100%とした場合の女性の賃金を比べると、最高のスウェーデンは70%、フランスがそれに次ぎ、米国が60%前後、イギリス、ドイツが50%前後なのに対して、日本は30~35%だ。

   大沢所長は「大事なのは、これが時間給、働く数、何時間働くかなどすべてを掛け合わせた結果だということです。女性の発言権や地位をも示しています」という。「なんとか壁を取り払わないと」

   視聴者からのメッセージに「手取りが減っても、社会保険に入ったほうがいいのか教えて下さい」(40代男性)というのがあった。これが日本の現実だ。非正規の低賃金が安い物価を支えていることは誰もが知っている。

ヤンヤン

*NHKクローズアップ現代+(2016年10月6日放送「シリーズ あなたの働き方が変わる!? 収入アップ?ダウン?~」)

文   ヤンヤン
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